前回のブログからの続きです♪
前回のブログでもご紹介した「3つめ 木造戸建住宅の壁量計算等を見直し!」の1つ目の丸「算定式に基づき、壁量および柱の小径を算定」のうち、「柱の小径を算定」という部分に焦点をあてます。柱の小径というのは、長さではなく、柱の幅の「大きさ」を指します。一般的な柱は「正角」といって正方形です。今回の改正では「柱の大きさ」が、「建物の荷重の実態に応じて必要な大きさとなっているか?」の審査項目が増えることになります。
では、これまではどうだったのでしょうか?現行法での柱の規定を以下に示します。
◎建築基準法施行令第43条 柱の小径
① 横架材間の垂直距離に対して、表に定められた割合以上でなければならない。
② 3 階建木造建築物の1 階の柱の径は、原則として13.5cm以上としなければならない。
③ 柱の所要断面積の3 分の1 以上を欠き取る場合には、その部分を補強しなければならない。
④ 2 階建以上の場合には、すみ柱又はこれに準ずる柱は、原則として通し柱としなければならない。
⑤ 柱の有効細長比(断面の最小二次半径に対する座屈長さの比)は、150 以下としなければならない。
木造の場合の柱の規定はざっくりというと、この5つしかありません(条文としてはもう一つあります)。
ですが、現行法では「構造関係規定」に関する審査は省略されていますので、一般的な木造住宅(2階建)では、事実上のこの柱の小径についての規定審査は行われません。ちなみに、横架材間距離というのは図にありますように、土台又は梁から階上部の梁までの垂直距離ですので、一般的な柱材の105角くらいですと、3,100mmくらいが限界で、それ以上の階高になってくると、柱を太くする必要があります。従って階高の高い建物はそのまま柱を太くする必要がでてきますので、コスト高になるというものです。
そして、先に結論じみたことを申し上げますが、これらの規定はすべて「原則」ですので、これに準拠しないとなると、方法は「構造計算」を行い、安全性を確認することが必要になります。これらの規定は、あくまでも「仕様規定」といわれているもので、法的な基準や仕様を用意しそれに準拠させることで一定の構造耐力を担保しようという目論見から制度かされています。ですが、これらの規定すら認識せず、勝手な解釈で建物をつくることが審査が省略されていることをいいことに横行しており、今回の大改正ではこうした「構造に対する認識や知識、ノウハウ、経験が不足している建築士」にとってはたいへんハードルが高い改正となります。
さて、では、どのように改正されるか?をご説明します。
改正内容の肝は、なんといっても「建物重量の実情に合わせた柱の小径」ですので、建物重量を諸元としてあたえた算定式により「必要最低の柱の小径を割り出す」ことになります。そして、その算定のためには、前回のブログでもご紹介した「エクセルシート」を使うことができます。
このように諸元を入力しますと、3つの方法で柱の小径を算定することができます。
① 算定式と有効細長比より柱の小径を求める場合
② 樹種等を選択し、算定式と有効細長比より柱の小径を求める場合
これら、①と②は直接、柱の小径を算定するものですが、算定された数値以上の柱を設計として採用していることで構造関係規定に準拠しているとするものです。ちょっとご覧いただくと、1階の柱の小径が106となっています。つまり、先に示した諸元では105角は使えないってことになります。太陽光パネルなどの重量があるわけでそれを加味すれば柱の強度はそれなりに重要だということです。
③ 柱の小径別に柱の負担可能面積を求める場合
この手法は、柱一本が負担できる面積を算出し、各階各所の柱が、その面積以下となっているか?というものです。1階の外周部では105角の柱の場合、4.9㎡となっていますのでかなり狭いわけです。どういう時に影響があるか?というと、連続的に大きな開口部が存在するような場合は、かなりの確率でひっかかるわけです。
また前回のブログでも紹介した「早見表」というものも存在しています。
同じPDFの中に柱の小径の項目があります。これを参照して柱の小径を決めるということになります。
建物重量を加味して柱の小径を決めるということが今回の改正の肝ではありますが、なにか違和感が残りませんでしょうか? 次回のブログは「まとめ」の意味でどういった違和感があるのか?その部分をご説明したいと思います。