レバーハンドル式のカランに見る建築時期

ネット上では「水栓カランのレバー式が下げ止め式になったのは阪神大震災での被害が理由」というのは、「都市伝説」だという論調があります。これは、朝日新聞による「下げて止める蛇口「大震災を機に統一」都市伝説の真相は」という記事で取材結果として報道されていることが都市伝説であるという理由なのですが、実際に、建築時期を見るにはある意味、良い指標にはなっています。

レバーハンドル式のカランというと、今では当たり前になってきている水栓カランの形態ですが、阪神大震災よりも前の時期ですと、まだまだ2バルブ型カランも多かった時代です。レバーハンドル式のカランの普及は生活形態の中で、高齢者対応という部分での「水栓が締めにくい」ということや、お湯と水を混ぜることによる温度調節が容易であるなどの利便性もあって普及し始めました。

都市伝説とされているのは、阪神大震災で水栓カランの上にモノが落ちてきて、上げ止め式だった水栓カランからは水が出っ放しになり、水道復旧などに負担が生じたというものなのですが、朝日新聞の記事にもあるように、そもそも国内で生産されていたレバーハンドルは「下げ止め式」と「上げ止め式」が混在していたわけで、これがピタッと「下げ止め式」に規格統一された時期としては「阪神大震災」以降というのは、「時期」だけに焦点を絞れば大震災が発生した時期が一つのターニングポイントとなっているのは確かなことです。

従って、住宅の建築時期を知るためには、古い洗面化粧台やキッチンセット、あるいはお風呂場などにレバーハンドルのカランがある場合には、それが「上げて止まる」か「下げて止まる」かで、「上げて止まる」場合には少なくとも阪神大震災以前、つまり1995年以前の建物であるという判断ができます。

こうした設備関係の仕様で建築時期の推定ができるという一例ですが、耐震関係のご相談の際に建築年が定かでない場合などはこうしたことも推定する一つの材料となることがあります。皆さんのご自宅の水栓カランはいかがですか?

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