写真をご覧ください。
TVアンテナ線が外壁から差し込まれています。外装面の通気防水シートは裂かれて施工されているのですが、補修された跡はありません。外装面はシリコンで隙間埋めしたのでしょうが、そもそも通気防水シートは外装面における防水面ですので、そこを裂いてしまうことがどういうことになるか?ということが想像できなかったのかもしれません。
場所的には、サッシ下、下屋上ということもあって、すごく狭いところですから、雨の当たり具合としてはさほどひどくないという思いもあったのでしょう。
しかし、画像をよくみるとTVアンテナ線付近に水のシミ跡があります。そうです。雨漏りです。電線、アンテナ線というのは、穴を貫通させて入れるしかありませんので、当然、風雨にさらされる面の防水というのはだれでも気を遣うものです。ですが、建築の防水というのは、なにかひとつのもので防がれているわけではないのです。例えば、瓦の下には防水のためのリーフィングを敷きます(昔はそういうものがないので、葺き土といって粘土を塗った)。瓦材だけで防水しているわけではないのです。
もう一つ、電線などの細いものが壁貫通する場合には、「伝え水」が発生します。弱い雨であっても、線に伝わり集まった水が一か所に集中して流れ込むことにより、想像していた以上の水量が壁に当たることがあります。また、屋根などに垂らされた線により水勾配を遮断し、屋根に想定外の「水たまり」をつくる結果になることもあります。
原因がわからない雨漏りの原因というのは、時として、「何気ない施工」が原因であったりします。