もうすぐ始まる建築基準法大改正施行 その4

前回のブログからの続きです♪

前回のブログでは3つの改正ルールについての「2つめ 木造戸建住宅の建築確認手続き等の見直し」についてお話ししました。今回は最後の、「3つめ 木造戸建住宅の壁量計算等を見直し!」についてお話ししますが、ちょっとまとめるには難しいので2回にわけたいと思いますwww

国交省からのチラシでは以下のように書かれています。

一つ目の丸として「算定式に基づき、壁量および柱の小径を算定」とありますが、これまでは「壁量」といって、筋交いなどで構成される「耐力壁」といわれるものの量を、地震力に対しては「床面積」に、風圧力(風に対抗する)に対しては「立面面積」に対して、ある数値を係数として掛け算したものを「必要壁量」として設定し、それが実際、それ以上の壁が存在しているということを計算すること、耐震性、耐風性の部分で「構造安全性の証明」としていました。

ところが、前回のブログでも紹介したとおり、「構造関係規定の審査省略」があるため、この「壁量計算」に対する審査は行われていなかったわけです(ただし、福井県においては土木事務所及び福井市建築指導課での審査の場合、審査対象としています)。ですが、今回の改正で、「構造関係規定の審査省略」は、一般的な木造住宅(2階建)において廃止されますので、法律施行が始まりますと、この「壁量計算」も審査されるようになります。

もう少し掘り下げます。現行法で改正されるのは、「地震力に対する必要壁量」なのですが、現行法では、この地震力の違いを単純に屋根の重さの「軽い」「重い」(さらに非常に重い)の区分にしかわけていません。例えば、瓦の屋根は「重い」ですし、金属屋根は「軽い」となるわけです。そして、法的には、

平屋2階建の1階2階建の2階3階建の1階3階建の2階3階建の3階
重い屋根153321503924
軽い屋根112915463418

このような数値で定められています。今回の改正では、この数値をもう少し厳密にしようということで、屋根の重い、軽いといった区分けではなく、屋根がどのようにつくられているのか、また、屋根に太陽光パネルがのっているのか、さらに、天井や外壁の断熱材の重量などを設定することにより係数が算出される「エクセルシート」を使うことを「法的に認める」ようです。設定例を以下の画像に示します。

エクセルシートに諸元を入力すると「地震力に対する必要壁量」を算出するための「係数」が決定されます。

注意点としては、今回の改正においても、「積雪荷重」の考慮を「建築基準法」で義務化はしていません。住宅性能表示を使って等級を定める場合のみ使うことを前提としています。もちろん、積雪荷重を加味すると必要な壁量は増えますので、こちらで計算して雪を考慮することはできます。でも、おそらく、なされることはないと思います。理由は、前回のブログに書いてあります。

さて、このエクセルシートを使う場合においても、構造的なノウハウとして最低でも断熱材の重量や太陽光パネルの重量など、そういった諸元がある程度理解していないと、このエクセルシートは使えません。ですが、安心してくださいwww そういったことが無理解であってもちゃんと係数を導くことができる方法を国交省は考えましたwww それが以下の画像に示されるものです。

早見表ですwwwww そして、その早見表は、太陽光パネルが「ある」か「ない」かで分かれています。

これが、「公益財団法人日本住宅・木材技術センターのホームページ」に公開されています。太陽光パネルが有無で、どちらの枠にいくかを選択し、階高の数値と床面積が当てはまるものの「PDFファイル」をダウンロードして中身をみますと・・・・・

という感じで一覧表があり、屋根の仕様と外壁の仕様から、先ほどの「係数」を選択することができます。

たったこれだけのことで、事実上、「構造的な安全性に対して法的に適合している」としているわけですw すごく違和感ありませんか?www 北陸でこのツールや表を使えば、法律的に積雪荷重は考慮しなくていいわけですので、仮にお客様に「雪でも大丈夫な家を作ってください!」とお願いされても、それを現実的にどのようにしているの?ということを法的な審査を受ける必要はないってことです。おかしいでしょ?w

また、これらの壁量関係の改正では、近年建築される住宅を構成している「材料」の重量がかなり重くなっているということも関係しています。断熱材の量は増え、太陽光パネルがのれば、いわゆる省エネ住宅は、屋根が軽かろうと総重量では従来の軽い屋根の住宅よりも重い住宅なわけです。なので、実際に合うように改正しようとはしていますが、見ているのは、屋根の仕様と、外壁の仕様、断熱材、太陽光パネルの有無くらいですのです。あの重いトリプルサッシなどを採用していても、その重量は少なくともこのエクセルシートにも、早見表のPDFにも記載がありません。

次回のブログでは、このあたりを問題にしたいと思います。

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