もうすぐ始まる建築基準法大改正施行 その6(終)

前回までのブログからの続きです♪ 今回この大改正施行による結論を書こうと思います。

前回までのブログで、今回の大改正の内容はご説明しました。改正内容としては、これまで審査されるようなことは極々特殊な場合でしかなかった、省エネ性能や構造に関する設計に対して、法律に照らし合わせた確認を行うことを「義務化する」という点です。ですが、確認申請でそれらの内容が審査されるというだけで、なぜ、国交省が「税金を使ってまで」、その内容を周知させ、かつ、申請に必要な設計内容をまとめるためのツールを用意し、そのツールが使えないかもしれない人に対しては「早見表」まで用意しているのでしょうか?

ここに、今の「建築設計」の大問題があると考えています。言い換えれば、これまでの設計では、省エネ性能や構造に関する事柄について「設計してこなかった」のか?ということです。

巷では、昔から、施工に関する不良や、手抜き工事などを糾弾することはありました。今でもそうです。ですが、「設計」という部分で「設計不良」なり「設計不足」などを糾弾することは、例の「姉歯事件」くらいでそれ以外、大きな問題になるようなことがあったでしょうか? はっきり言ってありません。

今回の大改正で本当に問題に感じなければならないことは、この改正によって「大混乱してしまう設計士の存在」なのです。たかが法律の制度上の改正です。今まで普通に設計してきた人であれば、その数値レベルや検討項目が増える程度で、設計として考慮しなければならないことが増えるわけではありません。もし、増えると感じる設計士がいるとすれば、それは「これまでまともに設計してこなかった」のです。

4号特例という、一般的な木造住宅(2階建)に対する設計審査は、特殊な制度を使い補助金を受けるなどの状況でなければ、相当な設計審査の省略がなされていた、これは、あくまでも審査業務を省力化するための緩和規定でしかありません。

国土交通省ホームページ 建築確認・検査の対象となる建築物の規模等の見直し より

それを、設計審査されないから「設計図書とする必要がない」と解釈し、さらに「審査されないから設計しなくてよい」と変遷していき、結果として、配置図と平面図と立面図、その他面積表くらいあれば設計審査が受けられるということで、極端に設計することを省いていたわけです。

また、できる設計士があえて設計図書としないのであれば、設計側の労力の省略にもなりますが、現実には、「できないからやらない」わけで、それをカバーするための法律が「緩和規定」として「悪用」していたというのが現状なのです。

建築基準法に規定されている内容は最低基準だという人はたくさんいます。ですが、そういう人が、設計の本質として「ものづくりをしている」という意識はあるのでしょうか?あれば、建築基準法にどう規定されていようと、極端に言えば、自分の設計の安全性さえ「証明」できれば、一々、細かい数値規定に準拠する必要はないのです。そして、このことは、建築基準法にも明言されています。

「ただし、構造計算等により構造安全性を確認し、検証した場合はこの限りではない」

つまり、建築基準法に記載されている種々の数値を使うというのは、国が税金を使って様々な検証を行い、実験を行い、その結果、安全性を担保するための最低基準値を示した数値を使うということで、ある意味、一定の合理的な判断が時間がかからずできる仕組みなわけです。その数値に疑問を感じたり、現状に合わないと設計士が判断するのであれば、自身で安全性を検証すれば済むことです。

簡単なことです。「省エネ性能」の計算は義務化になります。メンドクサイ計算も多々ありますwww それに「構造計算」を加えれば済む話しです。できる能力を持っていると判定されたから「建築士免許」をもらえたわけです。それができないというのであれば、免許を返すべきだとすら思います。

今回、この大改正を話題にしたのは、こういう設計士であることの「闇」を一般の方にも知っていただきたいことからです。そして、今年、もし、次のような文言を住宅会社の営業や設計士などから聞いたら、その会社や人の能力を疑ってください。

「来年4月から法律が改正されますので、コストが高くなります。ですから建てるなら今年中に」

はっきり言いますが、当たり前に建てればクリアできるような基準でしかありません。ご安心ください。

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