リフォームがお手軽にできなくなる法改正(その1)

以前のブログで、2024年4月着工から新しい建築基準法への適応が求められ、その影響で住宅に関する設計審査が厳しくなる話題をご紹介しました。

その際のテーマでは、主として新築住宅への影響を取り合えていましたが、実際の法律の立て付けとしては新築、増改築などの区分はそれほどないので、これらの法改正の影響は新築だけではなく、リフォーム工事にも重大な影響を与えることになります。これは至極、当然のことであり、設計士であれば「当たり前」に理解できていることですので、それほど驚くことではありません。ところが、世の中では増改築、リフォームはこうした法規制には「無縁」であるというような大きな勘違いをしている人が多いのも事実です。国土交通省では、このような事態を想定していたのか、10月版の改正基準法の周知チラシとして、「大規模リフォーム」に関しての注意喚起の内容のものを公開しています。

簡単に言えば、今回の法改正によって影響を受けるのは住宅の新築だけではなく、規模の大きなリフォーム工事も影響を受け、建築確認と建築士による設計・工事監理が必要になるということです。国交省がうまくまとめてくれてますwww

増築はともかく、「大規模の修繕」、「大規模の模様替」という部分に注目していただきたいのですが、これは現行法でも確認が必要な行為だったわけですが、一般的な木造2階建ての住宅は4号建築物という扱いで「審査省略」されていたために、手続きとしては不要であったにすぎません。これが法改正により、4号がなくなり各号の区分けが厳しくなったため、一般的な住宅でも確認が必要になるっていうわけですw

では、「大規模の修繕」とか「大規模の模様替」ってなにか?というと、法律的な位置づけは、

建築基準法第2条第14号 大規模の修繕
建築物の主要構造部の一種以上について行う過半の修繕をいう。

建築基準法第2条第15号 大規模の模様替
建築物の主要構造部の一種以上について行う過半の模様替をいう。

なのですが、「修繕」とは、同じ材料を用いて元の状態に戻し、建築当初の価値に回復するための工事で、「模様替」とは、建物の材料、仕様を替えて建築当初の価値の低下を防ぐ工事という感じです。「修繕」の事例としては、外装仕上げ材に傷みがでてきたのでその部分の張替えを行うなどですし、「模様替」の事例としては、外装仕上げ材としてモルタルの壁を剥がしてサイジング張りにするなどを指します。

後のブログでも取り上げますが、この種の「修繕」や「模様替」では、工事の内容によっては確認申請が必要ではないものがありますが、一見、ちょっとした修繕や模様替でも確認が必要になる確率が、現行法よりもかなり高くなるというわけです。

そして、重要なキーワードとして「主要構造部」という言葉があります。これは法的に、

建築基準法第2条第4号 主要構造部
壁、柱、床、はり、屋根又は階段をいい、建築物の構造上重要でない間仕切壁、間柱、付け柱、揚げ床、最下階の床、回り舞台の床、小ばり、ひさし、局部的な小階段、屋外階段その他これらに類する建築物の部分を除くものとする。

と規定されています。つまり、壁、柱、床、はり、屋根、階段についての過半の改修では、確実に確認申請が必要になるわけです。例えば、「階段が古くなったので架け替える」となれば、その建物に階段が1つしかなければ1/1の改修ですので過半ということになり、確認申請が必要になるというわけですw 3つあって1つであれば過半ではないという感じです。

例えば、建物のフルリノベーションで柱や基礎を残してあとはすべて壊してリフォームするということになりますと、住宅においても今後は「確認申請が必要」となるというわけです(壁の過半の改修にあたるため)。

確認申請での審査といいますと、例えば、建ぺい率というものがあります。古い町並みなどで、敷地ギリギリに詰めて建てられている場合など、建ぺい率が完全に違反しているという建物はいくらでもあります。その場合、壊して建て替える、新築することはできないけど、リフォームであれば大丈夫だということが言えなくなるというわけです。

というわけで、今回のブログから、法改正とリフォーム工事についてを取り上げてお話ししていきたいと思います。

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