リフォームがお手軽にできなくなる法改正(その4終)

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実は、今回、改正基準法におけるリフォームの扱いを問題にしたのは「木造住宅の耐震改修工事」にも多大な影響がでる可能性があるということを問題にしたいからです。法律に則れば、「大規模な修繕・模様替」にあたるものは確認申請が必要であるということになりますが、この前提になるのが「主要構造部の過半の改修」にありますので、耐震改修工事はその影響を「もろ」に受けることになります。

例えば、以下は耐震改修工事の計画の一例ですが、赤の壁の部分が壁を改修する部分です。

壁ですので、主要構造部にあたりますが、パッとみると、建物全体の壁に占める赤の壁の割合がなんとなく半分くらいありそうな感じです。もっと具体的に言えば、全体の壁の長さが200mあった場合、100mの壁の改修を超せば「過半の改修」として認定される可能性があるということです。

専門家であるはずの設計士でも勘違いされている方がいるのですが、主要構造部としては「壁」ですので、耐力壁であるかどうかは関係ありません。除外されるものとして「間仕切り壁」というのがありますが、これは「構造的な影響を与えない壁」ですので、耐震診断で「筋交い」がはいっていなくとも、「構造上耐力を持つ壁」としているのであれば、それは間仕切り壁という扱いではなくなる可能性があります。

また、もう一点懸念されることとして「柱の金物設置」があります。柱を撤去する、新設するだけはなく、金物を設置する行為が、主要構造部としての柱に対する「修繕」と見なされれば、その措置を行う柱が全体の柱の半分以上であれば、「過半の改修」にあたる可能性があります。

となりますと、耐震改修工事を計画する上でそれが「過半の改修」となれば、自動的に確認審査を受ける必要が出てくるわけです。そうなると、構造的な部分は耐震改修でクリアできるとしても、建ぺい率、容積率、採光、換気、時には排煙、防火避難規定などに準拠していなければ、工事ができないということになります。また、耐震改修としては段階的クリアとして評点を0.7とすることも認められていますが、法が認める耐震性という視点では評点1.0ですので、段階的クリアでの対応もできなくなる可能性があります。

これらの可能性を踏まえますと、補強プランを検討する上では、確認申請が必要となるような「主要構造部の過半の改修」にならないような改修計画を検討する必要が出てくるわけです。弱い壁でも数多く対応することで相当する耐力にすると、壁の改修箇所が増えるわけで、それが「過半の改修」として認定される可能性があるわけです。そうなると、強い壁でできるだけ少ない箇所で改修するということになります。

また、床を完全にめくって土間コンクリートなどを打設する場合にも、床の改修面積が全体の半分を超すことを避けることになりますが、本来、1階の柱の根固めを含めも耐震性を担保させることが重要なのに、あとから来た法改正で影響を受けるというのもなんだかなぁという感じがしています。

さて、ここまで、「可能性」と書いてきましたのは、まだ、法的な運用レベルで、事例をはっきりと定めているわけではないという理由があるからです。4月までに、各審査機関も含めて対応をどうするかを迫られるわけで、おそらく4月まで大混乱になるというのが予想されますし、4月以降も運用をめぐってかなりもめるのでは?ということも予測されます。

いずれにせよ、国交省のチラシにありますように、「建築士による設計・工事監理が必要」という部分が重要で、建築行為そのものの法順守を厳しく求めていくというところが重要なのだと思います。

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