一年に2,3回ですが、車両が建物に接触したことでの破損の修繕の依頼というものが舞い込んできます。
今回は、荷捌き場の車寄せの部分にトラックを入れてていて、バックしているときに、シャッターと仕切りのフロントサッシに接触して損傷させたという事例です。事故っていうのは、ホントに不注意から発生するのですが、今回の事例では、まず、シャッターの座板の部分に当たって「あ!」ってなった後で、それを確認したのちさらにバックして、今度はサッシ枠に衝突したというなんとも言えない感じです。防犯カメラにはその一部始終が記録されていましたw
衝突が外壁や内壁の壁にあたったというのであれば、比較的、修繕は簡単なのですが、フロントサッシやシャッターの座板を損傷させた場合というのは、その修繕が非常にめんどくさいことになります。まず、シャッターなのですが、交換は座板だけですが、座板の交換を行うには、両サイドのシャッターレールを外さなければなりません。
シャッターレールは、土間に埋まっているわけですので、レールを外すなら土間を壊さなければなりません。そして、その復旧は、部分的に土間をはつるのであれば、アスファルト舗装などで部分補修では補修後のつぎはぎ部分が痛みますので、コンクリートでの補修になります。
きれいにアスファルト舗装をはつるためには、カッターを入れてから、はつり機で丁寧にアスファルトを外すしかありません。道路工事のような大型のカッターを使えればいいのですが、狭いところでの作業ですので、ハンドサンダーでのカッター入れになりますので、道路のアスファルト舗装のめくり工事とはちょっと違います。ですが、まだ、アスファルト舗装のほうが柔らかさもあって楽かもしれませんwww
問題はフロントサッシです。荷捌き場は、本体倉庫とは完全にフラットでつくるわけですので、仕切りの建具の敷居は、コンクリート土間に埋まっています。破損個所の枠を外すためには、敷居が埋まっているコンクリート土間をはつることになりますので、相当なホコリがでます。これを内部に入れ込まないような養生と、周辺の清掃が必要になりますし、余計なところをはつらないように、しっかりカッター入れを行い、はつり機で少しずつ土間を砕いていく作業が必要です。これなら、建具戸につっこんでもらって、戸の交換のほうが数段手間がないですw
さて、一見、ちょっとした損傷でその直しは簡単そうにみえるかもですが、実際に修繕手順を検討すると、相当な手数が必要になるわけです。そして、この手のほとんどの修繕費は、車両につけている「任意保険」の対物対応で行うことになります。問題はここからです。
事故を起こして保険を使うということになりますと、「被害相当額」というのを確定しなければなりません。対人の人身事故の場合であれば、治療費はもちろん、精神的な苦痛の部分、また、不幸にも命が奪われた場合にはそれに対する部分の保障ということで、その額についてはそれなりに考課されます。車の修理については、動産である車両修繕の相場は、交換部材費と工賃という部分でおおよそ相場が決まります。
ところが、建物に対する損害となると、その査定は、事実上、「建物修繕費」となります。これが実はやっかいなのです。まずは「見積書」を下さい、となるのですが、実際の請求額が見積額より増えることは「原則」できません。つまり、事故が起こった場合に、どのような状況になり、その影響がどの程度広がっているか、そして、どのような修繕方法が必要か?ということを、一発で提示する必要があるわけです。
今回は、見た限り、シャッターの座板と、フロントサッシの枠だけの問題だと見切りましたが、例えば、建物の外壁に衝突した場合、建物全体に変形がないか? その他の構造体に影響がないか? などを「後でわかtった」としても、その請求が保険適用できないことのほうが多いです。ですので、綿密な調査をいれますが、その調査にかかる費用については、見積書に「調査費」として計上しても保険支払いを拒否されます。さらに、見積額が大きくなると、損保会社から、提携している「損害調査会社」に調査依頼が入り、こちらが出した見積額の査定が行われます。
本来、損害保険の「被害相当額」の査定は、損保会社がちゃんと行うべきところを、我々の修繕見積書をもってその額にしているにもかかわらず、その額が高いと、修繕内容の理解もせずに調査会社に調査を依頼し、その依頼先には調査料を払うにもかかわらず、見積をするために調査した我々には調査費を支払うことは拒否するというわけです。
そこで、おおよそ見積額が大きくなりそうだという予感がある場合には、先に損保会社で調査会社を依頼してもらって、修繕方法の決定など含めて行ってもらうことにしています。結果、大幅に金額が少ない場合には「どうぞ、そちらでその金額で修繕してもらってくださいw 被害者のお客様が納得していただけますことお祈りしておりますw」とお願いすることにしています(※これは、完全に皮肉ですwww)。
車の修繕費用と、建物の修繕費用は、性質が全く違うにも関わらず、それを理解しようとしない損保会社には、弊社や弊社社員の損保はお願いしないことにしています。