地震後、この家は住めるのか?

能登地震発生以来、数多くの耐震診断や補強のご相談をいただいております。地震の予知はほぼできないものということ、発生の認知は震源での発生から数十秒後くらいにしかできません。したがって、日ごろからの備えが重要ですが、問題になるのは、地震発生後にそのまま住まいを使い続けることができるかどうか?の判断です。この点に置きましては、制度としては、「被災度区分判定」というものがあり、被災度区分講習受講者で技術者証を持っている建築士が所属する建築士事務所が、その判定を行うことができます。ちなみに、弊社も2人登録しております。

◎被災度区分判定・復旧技術事務所名簿


ですが、判定を行える資格者の数はかなり少なく、福井県におきましては、登録公開している判定資格者は11人しかおりません。ご依頼があった判定をつぶさに行うことは物理的な数の問題でかなり難しいのです。そこで、国土交通省からは、簡易的にではありますが、住宅所有者さんでもできる一つの目安となる点検方法を公開しております。

このパンフレットに記載される方法で適用できるのは、昭和56年6月以降、つまり、新耐震基準での建築がなされているであろうと思われる住宅となっておりますが、被害レベルを調査するという視点に立てば、方法としての原則がかかれていますので、旧耐震の住宅でもまずはこのパンフレットを元に判断していただくことも参考にはなります。ですが、耐震性の観点からいえば、問題が発生している確率は高く、あるいは、見た目問題がなくとも、隠れた部分で問題がある可能性があることは留意していただく必要があります。

1については、特に初見で重要なことです。液状化などの目立った地盤被害がなくとも、窓の開閉がしずらくなっていたり、床にモノを置くと転がるというのは、建物に傾斜が発生している可能性が高いということです。

2は、建物の構造的な損傷レベルを推し量る上で重要なのですが、基礎部分に変形がある、つまり強烈な力が加わって基礎を破壊している可能性があるというものを調べます。このとき、ひび割れについてですが、表面のモルタル仕上げがひび割れているレベルではそれほど心配はありません。仕上げをしてあるのであれば、おそらく15mm程度はモルタルが塗られていますので、針金などを突っ込んで10~15mm程度であれば問題ないと思われます。仕上げがない場合はダメです。

3は、壁の損傷で、外壁部分に損傷がある場合はもちろん、内部で画像のような損傷があれば何らかの影響を受けているという判断になります。

この3つのカテゴリーでの判断で、Bとなる場合には、もよりの専門家にご相談という流れになります。

ただし、一つ条件がございます。ある程度の築年数を経過している場合、上記のような損傷などが地震発生でおこったものか?が判断が付きにくいです。したがって、普段の生活で大きな地震に見舞われる前に建物状況をしっかり確認していただき、地震後に発生した損傷かどうかを判断しやすいようにしておいていただくことが重要です。

もし、今の建物の状況があまりわからないということであれば、休日にでも一度皆さん方の目で確かめていただくことを強くお勧めします。

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