基礎にまつわる謎の説明#1

最近、SNS流行りもあり、住宅を主力として設計や施工をされていたり、はたまたお客さん自身がレポート的に記事をアップしていたりします。各々の視点で工夫したところとか、考えたことなどを披露されるわけですが、「おおおお!」と参考になるものもありますが、結構な確率で「え?wwww」っていうのもありますw

そんな中、全国的に木構造についてのコンサルティング、また、設計者向けの構造関係の勉強会などを主宰している、株式会社M’s構造設計 代表取締役社長の佐藤実先生が、SNSで「基礎の誤解」という話題でアップなさっておられました。まさに、「え?wwww」っていうものを「誤解」ということで説明されておられまして、先生に是非、私どものブログでも披露したいとお願いしたところ、ご快諾いただけました(わかりやすいイラストが特に注目ですwww)。

先生がSNSでご披露なさっておられた「基礎の誤解」というのは、私どももよく耳にする内容なのですが、それが、設計士さんが説明するというより、住宅建築における「営業現場」で語られることが多い内容ではないか?と感じております。

さて、今回は、次のような内容を取り上げたいと思います♪

【誤解1 地盤の強さで基礎配筋が変わる】

基礎の誤解1 株式会社M’s構造設計 代表取締役 佐藤実先生

一発目から強烈なものですwww これは、地盤改良などの工事の必要性をアピールすることにも使われると思います。つまり、「地盤改良工事をがっつりやれば、基礎、それも、ベタ基礎や布基礎のフーチングなどの鉄筋が少なくて済む、だから基礎工事費が安くすむ」という論法に行きつくわけですが、これはどんでもない誤解です(はっきりいいますが、誤解ならまだましで、基礎の設計というものを理解していないそのものとも言えます)。

結論はイラストの下にもかかれておりますとおり、「地盤の強さにより基礎の鉄筋量は変わらない」というものです。

そもそも論、建物の「基礎」とは、建物の総重量及び、地震や風で受けた水平力など、トータルした力がかかった時に、それらの力をしっかり地盤面に伝えていくことができるためのものです。つまり、つまり建物の基礎から上の部分の荷重に対して、基礎自体が壊れたり、過度な変形がないことが大前提なわけです。従って基礎の鉄筋量などが変化するとすれば、それは、建物重量の大小により変化するわけで、地盤の強さ弱さなど関係がありません。

では、まるっきり地盤の強さが関係ないのか?というとそうではありません。先ほども書きましたが、「基礎」は「建物総重量及び、地震や風で受けた水平力など、トータルした力がかかった時に、それらの力をしっかり地盤面に伝えるもの」です。ですから、伝わった力に対してきっちり対抗できるだけの地盤の強さというものが必要になります。例えば、地盤面に2t/㎡の力がかかるとすると、地盤面が耐える力が1t/㎡しかなければ地盤は変形し沈んだりします。これを地盤の沈下といって建物が傾いたりする原因なわけです。どのくらいの力がかかるのか?は「接地圧の計算」というものを行い、ベタ基礎のエリア毎だったり、布基礎のフーチングからかかる力を計算します。ここでの評価はあくまでも対抗できる力であるか?ということであって、鉄筋量など無関係です。

ですが、極々特殊な事例の場合、この地盤の強さが構造物としての鉄筋量などに影響を与えるときがあります。それは、トンネルや水路など、細長いものが地面や土中に敷設される場合です。このとき、この長いものが柔らかい地盤に存在する場合と固い地盤に存在する場合では、上から載荷重がかかった場合の変形が地盤の影響を受け変化します。以下は、ボックスカルバート(暗渠)の場合でのイメージ図です。

可とうボックスカルバート協会 可とうボックスカルバート 軟弱地盤に対する設計対策より

土木構造物などの場合、また、設置箇所が土中である場合など特殊な事例の場合には考慮しないとたいへんなことになります。ですが、建物の場合は、評価する構造モデルが違うので、地下に建物を作るのであれば別でしょうが、一般的な建物の場合はこうした考え方は行いません。

さて、この手の誤解が、誤解であるうちはよいですが、前述したとおり「地盤改良工事をがっつりやれば、基礎、それも、ベタ基礎や布基礎のフーチングなどの鉄筋が少なくて済む、だから基礎工事費が安くすむ」などというお金に関することに結びつけ、如何にもコストダウンさせているから必要だという「嘘」をまことしやかに言うことが問題だと思います。

今後もこの「基礎にまつわる謎の説明」をシリーズ化していきたいと考えています♪

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