基礎にまつわる「変な説明」というか「都市伝説」みたいなものを披露する「#5」ですw
今回も、株式会社M’s構造設計 代表取締役社長の佐藤実先生がSNSで話題にした内容で、わかりやすいイラストをお借りしますw 毎度毎度すみませんw (もはやテンプレになりつつありますwww)
【誤解5 耐震等級3には、べた基礎が必要】
これもよく営業チックな文句として使われがちな表現です。例えば、
弊社では、耐震等級3を取得するために基礎構造は「べた基礎」を標準採用しています!安全、安心のために、べた基礎で強固な基礎作りを実現しています!
という感じですw
毎回申し上げてることですが、この話しを営業的な説明として受けたとしたら、少なくともそれを話した人は「信用できません」。というか、基礎について「無知」だとご理解いただいたほうがよいです。
べた基礎と布基礎については、「基礎にまつわる謎の説明#3【誤解3 布基礎はもう古い、今はベタ基礎の時代】」でもご紹介していますとおり、「接地圧と地耐力の関係」でどちらをどれだけトレードオフするか?でしかありません。つまり、耐震等級3を実現するための手法として基礎構造を布基礎にするか、べた基礎にするかに依存するわけではないのです。
確かに、耐震等級3では多雪地域などにおいては確実に積雪荷重を考慮しますし、その他建物重量として影響される荷重はすべて考慮することになります。結果として地盤面に対して作用する力も大きくなりますので、布基礎のような狭いフーチングの面積では、地盤に要求される地耐力も大きくなりますので、その部分だけに着目すれば「べた基礎」のほうが有利かもしれません。ですが、それは地盤の強さや建物重量などをすべて勘案した上での話しですので、その物理的根拠を出さずに「耐震等級3を取得するためには布基礎はNGで、べた基礎でなければならない」というのは、もはや、技術的なコメントとしてありえないということです。
柱が太い、梁が大きい、大量の鉄筋が使われる、コンクリートはがっつりしてる、などの「言葉の印象」というのは、「大きいもののほうが性能が高い」という印象を植え付けますが、実際にはしっかりとした物理的根拠がなければコストが増大するばかりでムダな建築費を負担することになりますし、なにより、この種の躯体の重量が大きくなればなるほど、地盤面への負担や地震の時の水平力の増大など危険性が増すばかりです。
過ぎたるは猶及ばざるが如し
建築ではこれが最も大事なことだと考えています。