基礎にまつわる謎の説明#8

基礎にまつわる「変な説明」というか「都市伝説」みたいなものを披露する「#8」ですw

今回も、株式会社M’s構造設計 代表取締役社長の佐藤実先生がSNSで話題にした内容で、わかりやすいイラストをお借りしますw もはや毎度テンプレのご挨拶になりますが、すみませんw

さて、今回も専門家向けな感じなんですが、次のような内容を取り上げたいと思います♪ 逆にお客さんの立場であれば、その専門家の人の「知識レベル」を計るための「質問」になさってもイイかもですwww

【誤解8 基礎梁とスラブの位置は施工の順番と違う】

これは、駆け出しの設計士さんや、木造の建築にあまり携わったことのない人がよく勘違いすることです。木造建築の一般的な基礎構造は、「布基礎」か「べた基礎」かどちらかの形式が採用され、どちらにも共通して言えることとして、ベースに対して「立上り」と称する壁の部分があるということです。

そして、施工の順番としては、

まず、ベースと言われる部分にコンクリートを打設し、その後、立上りの部分を施工するという手法をとります。図の中の①が「ベース」で②が「立上り」です。実際の施工例は以下の通りです。

すると、こうした施工順を受けて、「構造上の役割」を誤解している自称専門家の方がいるってわけです。その誤解というのが、

①の部分が「スラブ」で、②の部分が「基礎梁」

という、とんでもない誤解なわけです。実はこれは、相当問題のある解釈で、もはや誤解というレベルではなく、「基礎構造」というものに対して「無理解」であるとすら言えます。

本来、基礎構造は、「基礎梁」の部分と「スラブ(フーチング・耐圧版)」の部分に分かれていて、「基礎梁」は建物の重量を受け持ちそれを「スラブ」に伝え、最終的に地盤に伝えるという役割分担があります。そして「基礎梁」というのは、図の青色の部分を指すわけです。これはかなり重要な考え方で、これが理解できてはじめて「鉄筋」の配筋計画ができるわけです。

さて、このような分けた施工方法を取ることに一部の方は、「打ち継ぎがあるので弱い」とか「打ち継ぎ部分から水の侵入がある」などの理由で、「一体化したコンクリート打設」を主張される方もいます。確かに、ベースと立上りを一体化してコンクリートを打設することは理想です。ですが、型枠の設置方法としては外周分の型枠はいいとして、内側の型枠は「空中に浮かせる」ことになります。不可能ではありませんが、そのためには「空中に浮かせる」ための工夫や、コンクリート打設時の圧送による圧力に対してちゃんと対抗できる型枠が必要です。

正直言いまして、住宅レベルの基礎、言い換えれば、100㎡くらいの基礎面でしたら、打ち継ぎとなったとしても、その期間はベース打設後おおよそ2~3日程度です。その程度の打ち継ぎ期間が重大な強度不足になるとは到底思えませんし、時間が経ってしまうのであれば、打ち継ぎの面をワイヤーブラシなどでこすり、ベース部分の表面の汚れを除去し、コンクリートの砂地面を出すことで密着性は各段にあがります。

ちなみに、鉄筋コンクリート造の建物は、何層かにわけてコンクリートを打設しますし、巨大な土木構造物でもコンクリートの打ち継ぎは発生します。その際には、コンクリートの表面を削り、付着力を高めた上で施工します。

したがって、打ち継ぎだから基礎に問題がある、とか、強度が下がるという考え方はナンセンスだと思います。

◎株式会社M’s構造設計

◎基礎にまつわる謎の説明

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