基礎にまつわる謎の説明#9

基礎にまつわる「変な説明」というか「都市伝説」みたいなものを披露する「#9」ですw

今回も、株式会社M’s構造設計 代表取締役社長の佐藤実先生がSNSで話題にした内容で、わかりやすいイラストをお借りしますw もはや毎度テンプレのご挨拶になりますが、すみませんw

さて、今回も専門家向けな感じなんですが、「基礎にまつわる謎の説明#8」でもご紹介した内容にも多少関係があります。

【誤解9 基礎梁の主筋位置とスラブの主筋位置】

#8では、「基礎梁」と「スラブ(フーチング、耐圧版)」がどこなの?っていうところを説明しましたが、それに連動するように、実際、現場で施工される「鉄筋の役割」もきっちり決まっています。この「鉄筋の役割」の中でも重要なのが「主筋(主鉄筋)」と言われる部分です。

イラストをご覧ください。まず、べた基礎の場合、薄青で塗られた部分が「基礎梁」です。「梁」というからには、縦にみたときに上部と下部のそれぞれ「端の鉄筋」が「主筋(主鉄筋)」になりますが、これが意外と意識されていないわけです。誤解として多いのは、基礎梁をスラブの底の部分として認識してしまい、基礎梁の下端の主筋(主鉄筋)をスラブ位置だと勘違いしている例です。

この手の誤解、勘違いをしている施工管理者は、結果として鉄筋組立の品質管理ができません。特に問題になるのが「重ね継手」と「定着長さ」といわれるものです。これらは「鉄筋の役割」によって最低基準値がちがいます。

主筋(主鉄筋)を例にあげます。まず、「重ね継手(L1)」ですが、鉄筋は一定の長さで搬入されます。4mとか5mとか6mとかです。当然、長さの長い基礎の場合は鉄筋を継ぐことになりますが、この時の重ねる部分の長さが、重ねる鉄筋の「径」と「鉄筋材質」と「コンクリートの強さ」を元に決められています。

重ね継手の長さ規定例

よく使われる組合せ的には鉄筋径の45倍(45D)ですので、13mmの鉄筋ですと585mm以上の重ね長さが要求されます。

次に「定着長さ(L2)」とは、「梁」や「スラブ」などが直交するところの「主筋(主鉄筋)」が「のみこまれる部分の長さをいいます。

この画像の例ですと、T字型に基礎梁が直交する部分で、縦に走ってる基礎梁の主筋(主鉄筋)が、横に走ってる基礎梁にL字に折れていますが、この折れている部分が「どのくらい飲み込んでいるのか?」が定着長さの規定で定められているわけです。

これらが「規定通り」になっているか?を検査することを「配筋検査」といい、かなり重要な検査項目ですが、意外と加工されている鉄筋個々の役割を知らないで、教科書的に示される「型」だけで判断してたりする場合があるのです。

これらの「規定」は、「標準図」としてテンプレ化されていますので、一般的な建築設計においては仕様書として添付されるものです。

ですが、意外と住宅レベルでそういった図面をしっかり添付し、かつ、どのような納まりにするかを明示している設計がなされているところは少ないです。あと、これらの規定は、木造戸建ての場合とか、RC造のビルの場合だとか、そういった区別は「原則ありません」。つまり言い換えれば、木造の基礎もRC造である以上、RC造の規定に従うべきというのが設計の考え方の原則になります。

木造の、しかも戸建て住宅の場合、基礎が当たり前にRC造で作られるわけですが、意外とこの手の「規定」を知らずに施工している事例が多いので注意が必要です。

◎株式会社M’s構造設計

◎基礎にまつわる謎の説明

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