夏の暑さの畜産への影響

以前のブログで、弊社子会社の「有限会社FKTlab」のご紹介をいたしました。

弊社においては建築設計施工の分野で「SDN-SHEET®」を使った遮断熱工法を標準としていますが、FKTlabのほうでは現在、畜産、漁業、農業等の建築以外での分野での「遮断熱シートSDN-SHEET®」の利用を事業として展開しております。そんな中、特に注目されているのが「畜産」分野です。これまでも、農畜産関係のメディアで取り上げられることがありました。

特に注目されているのは畜産関係で、夏場の暑熱により家畜が死んだり、牛乳や卵などの生産品の質が劣化したりと、畜産関係の方々はたいへんなご苦労をされています。そんな中、ひょんなことから、弊社で標準仕様としてたSDN-SHEET®をご注目いただき、畜舎や養殖プールなどでの室温、水温管理に利用してもらうことが増えました。

地球環境の温暖化も叫ばれている現在、どのくらいの温暖化が進行しているかですが、下のグラフをご覧いただければ、右肩上がりで平均気温の上昇となっていることが一目瞭然です(気温関係の基礎データは気象庁よりお出ししていただいております)。

それだけではありません。まず、夏場7,8,9月の平均気温偏差を年毎に集計し、その偏差がプラス(0以上)になっている月をあらわします。

これに対して、「鶏」が暑さによって死んでしまったその被害数を重ねますと、偏差0以上の月はほぼ確実に鶏の被害が発生していることがわかります。

鶏には汗腺がありません。従って、発汗で体温を調整することができません。室温27度を超えますと、ストレスにより、産卵数の減少や品質の低下がはじまり、37度を超えると死亡数も出てくるくらい、暑さにはとても弱い生き物です。従って、養鶏業者さんは、鶏舎にエアコンや扇風機などを数多く設置しなければならず、これが電気代などの光熱費がアップすることですさまじいコスト増になります。もちろんそれらは価格に転嫁されますので、卵がかなり値上がりする結果となります。

また、「アニマルウェルフェア」という言葉があります。これは「動物は生まれてから死ぬまでその動物本来の行動をとることができ、幸せでなければならない」という考えの元に、国際獣疫事務局(WOAH)の勧告を元に推進されている「飼育環境」に関する考え方で、日本もこの国際機関に加盟していますが、日本はこの分野での活動がかなり遅れているのが実態のようです。

上の画像は、実際の牛舎に施工させていただき、その温度を比較したものです。天井部分の熱の状態はもちろん、牛の体温が施工後で全く落ちていることがわります。牛がヘタって座り込んでいるようなこともなくなり、事業主の方は「乳質が各段にアップした!」とお喜びでした。

人間の住環境も同じです。ただし、人間の住環境はエアコンなどの空調設備などがしっかりと設置されますし、なにより空間が畜舎と比べ小さいです。ですが、きっちり夏場の暑熱対策をしなければ、躯体や断熱材に蓄積された熱エネルギーが室内に放散されれば、いくらエアコンをガンガン効かせても止めることはできず、結果としてランニングコストとしての電気代がすごくかかります。また、それを気にしてエアコンを動かさないと「熱中症」になり最悪、命を落とすことにもなります。

冬場の寒さは服を着こんだり、暖房などの熱源に近づけばなんとかなります。ですが、夏場は服を脱ぐことも限界がありますし、エアコンの運転も限界があります。つまり、暑熱対策をちゃんとしないと快適で経済的な住環境をつくることはできないのです。

タイトルとURLをコピーしました