大きな古いお家の耐震調査での一コマ

能登地震からはじまり、先日の宮崎県沖の地震による南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)の発表など、地震災害への不安から耐震診断や補強プラン作成のご依頼は依然として多い状況です。ほぼ1週間に1軒程度は調査に伺っているような状況ですが、耐震診断及び補強プラン作成に関する補助事業への申し込みも、福井市では相変わらず抽選希望者が後を絶たず、先週、たまたま所用で行った福井市建築指導課に置かれている「抽選申し込み」の番号札が410番を超していたのにはビックリでした。そして8月23日には、令和6年度の当初予算で確保されていた分が終了し、今後の補正予算等の成立をまって補助事業再開となる見込みですが、まだ300軒以上の希望者がおられることが予想されますので、どのくらいの予算が組まれるかわかりませんが、今年度中に調査を終えることは難しいのでは?と思います。

そんな中、今日も、耐震診断調査に行ってまいりました。今回も200㎡近くある大きなお屋敷でした。その調査の過程で、「お!」と思うことがありましたのでブログテーマとしました。

昭和40年代に建築された住宅ですが、いわゆる農家住宅というものですが、部屋数も居室だけで9室もあるような住宅です。昭和時代には家族も多く、多世代が同居するために部屋数を増やしていったような経緯もあるわけですが、現状ではお二人でお住まいのご様子。

部屋が余っている状況で、なんとももったいないとは思いますが、解体するのもお金がかかりますし、仕方のないことではありますが、そのような状況にあっても、しっかりと建物のことをお考えになっているというところが垣間見られました。

なんと、使わない部屋の畳を上げられているのです。また、物置のような使い方をしている和室でも同様に畳を上げて畳下の板張りの上に荷物を置いているのですが、これは維持メンテナンスの観点からもたいへんに重要なことなのです。

使わない部屋はとかく空気の出入りがなくなります。その結果、部屋の隅のほうでは湿気が溜まりやすく、カビの発生の原因を作ったりします。また、畳の裏側が湿気たりすることで床を傷めることもあります。畳を上げることで、畳下板の隙間から床下の通風も含めて空気の循環がおこりますので、その部屋の空気がよどむことはなくなりますので、通風不足が原因となるような建物の傷み、劣化は少なくなります。

冬場、床下から冷たい空気が入りたい放題ですが、普段過ごされている部屋の暖かさなどが確保できていれば、それほど問題ではないかもしれません。大きなお屋敷であるがゆえに、家族構成の変化で不要な部屋ができることは仕方がないのですが、その後の対策をしっかりと取っておられることに正直びっくりいたしました。

耐震性を上げるために建物の壁などを強化することも重要ではありますが、大きなお屋敷になればなるほど普段からの建物の状況の確認や、できる手立てをしっかり講じて維持していくことも重要で、いくら耐震性をアップさせても劣化が進むようでは躯体そのものに影響を与えます。

「人がいない建物は傷む」は、昔からいわれていることですが、湿度の高い北陸ではなおさら空気のよどみをつくらないことが重要であると思います。

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