嶺南小浜は古くから京都とのつながりが深い地域で、「鯖街道」に代表される京都への海産物の物流ルートとして、また、大陸からとの交易の拠点としての京都への玄関口として栄えた歴史的背景があります。京都との関係が深いということで、都から見れば一地方でしかない小浜ですが、京都の街並み文化が取り入れられています。そして、小浜三丁町、西地区は、国の重要伝統建築物群保存地区として指定され、特に「三丁町」はいまだに当時からの面影を残しています。今日は、ちょっと思い立って「三丁町」を見学してきました。
「三丁町」は、小浜公園の近く、常然寺、称念寺の界隈の通りの部分になります。
この通りは、道路がアスファルトではなく、石畳となっています。
通りの両側には趣のある建物が立ち並びますが、驚くのは、それらのほとんどが「一般民家」で、今もそこにお住まいの方が普通に生活されているということです。保護地区ということで建物の趣をそろえてはいますが、すぐそこに「生活」があるわけです。
また、NHK連続テレビ小説の「ちりとてちん」の舞台にもなった地区です。また、
通りを抜けたところでは、「保存修理事業」の工事が行われていました。
さて、この通り沿いには「蓬嶋楼」という、明治時代に建てられた料亭があり、その内外部を、土日祝日だけですが、一般公開しております。写真撮影はOKということでしたので画像を公開します。
料亭とはいえ厨房があるわけではなく、「仕出し屋から料理を運ばせ、部屋を貸す」という形態だったようですが、その時代の地元の名士や賓客などをもてなす場として、主は文字通り「金に糸目を付けぬ」という感じで建築されたようです。例えば、続き間の10畳の座敷に、それぞれ床の間が配置されていますが、その床の間がお互い向き合って配置されています。そして丸く抜かれている壁があります。これなんだと思います?
一つのほうは「夕日」をモチーフにしていて、もう片方は「三日月」をモチーフにしているのです。和室の造作一つに単なるデザインというわけではなく、粋な風情を醸し出さているわけです。さらに、これは便所の扉ですが、板戸になってますが、なんと「大和張り」の戸板なのです。
「大和張り」は、いわゆる京町屋造りとして伝統的な意匠構造ですが、普通は外塀で使われるものです。それを便所の戸板に使うわけですので、こだわりというよりも、「意地」みたいなものを感じましたw その他にも様々な京風建築様式が使われていて、日本家屋のデザインの伝統を学ぶにはもってこいの題材だと思います。建築系の学生さんには是非一度は見ておいてほしい建物です。
この日は少々慌ただしい1日でしたので、今度、もう少し時間を作ってゆっくりと見にこようと思いました♪
◎蓬嶋楼