尺貫法の長さの単位と図面復元(その2)

前回の続きです。

前回のブログのラストの画像をもう一度ご覧ください。

この柱の内法寸法が、3653であることから類推できることは、この部屋の内法が「12尺」であるということです。言い換えれば、部屋の内法大きさを12尺で作ったということなのですが、8畳間の場合、縦横とも内法12尺になるようにするわけです。これが「福井間」といわれる家づくりの基本なのです。ちょっとまとめると、福井間とは、部屋の内法を3、6、9、12、15尺といった尺単位でちゃんと区切る取り方となります。

そうすると、柱の中心間の寸法はどうなるか?というと、部屋の内法寸法に「柱一本分」が加えられた長さになります。そして、和室を原則として考えますと、これを4等分した寸法が「グリッド寸法」となるわけです。ちょっと計算してみましょう。

柱の内法:12尺 柱の小径:4寸

とすると、12尺4寸が全長で、この4等分、つまり、3尺1寸がグリッド寸法となるわけです。3尺1寸は、

3.1尺 = 939.3mm

となるので、これを、940mmグリッドとすると「だいたい」合うわけですw 970の場合は、さらに1寸大きくなるわけで12尺8寸となります。では、良く目にするグリッドの910mmとはどうなのか?というと、部屋の内法ではなく、柱芯を合わせていくやり方で、グリッドを3尺、つまり909なので、910mmとしているわけです。これを福井間に対して、関東間、あるいは「ずん間」と言ってます。お年寄りのお客様と打合せすると、ときたま、「福井間やでの!福井間!」と念押しされることがありますw

細かいことをもっというと、でっかい柱の場合には、柱の芯ではなく、内法部分を合わせて壁芯を逆に割り出したりも大工さんの工夫でやったりもします。その場合、耐震診断での間取り寸法の調査では、壁と柱の取り合いをしっかり見定める必要がさらにでてきます。

さらに、以下の画像をご覧ください。

赤丸を付けたところの寸法が1820となっています。先ほどの話しですと、和室の部分は940mmのグリッドのはずですので、本来ここは1880となるはずなのですが、測ると1820なわけです。これは和室がある箇所は940のグリッド、つまり、内法3、6、9、12尺を基本とする間取りだけど、赤丸の部分は、芯々3尺、つまり910のグリッド、「ずん間」にするということを行ったということがわかります。

全体をすべて940のグリッドで計画するというのは、ちょっとした廊下や部屋まですべて内法寸法を元に計画するわけですが、これを洋間とかトイレ、お風呂、廊下(縁側ではない)など、生活にどっぷりで、客間的じゃない部分については、柱芯でいいやwっていうある意味コストを落としての話しだったります。なので、調査のときに、和室を測って、この家は福井間で940mmのグリッドだ!と決め付けるわけにはいかないのです。

さて、次回は、この尺貫法とメートル法での監理上のまずい話しを取り上げます。


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