尺貫法の長さの単位と図面復元(その3)(終)

前回の続きです。

前回までのブログでかきましたが、尺貫法の寸法をメートル法に換算すると、以下のようになります。

1厘=約0.30303mm
1分=約3.0303mm
1寸=約30.303mm
1尺=約303.03mm
1間=約1818.18mm

これらをメートル法に換算する際にグリッドを意識すると、

3尺   ≒  910
3尺2寸 ≒  940
3尺3寸 ≒  970
6尺   ≒ 1820

となるわけですが、これで設計を行ったとして、現場で施工する際にちょっとした問題が発生することがあります。それは「設計はメートル法、大工さんは尺貫法」というものです。現在ではプレカットにより構造材の加工を行うことがほとんどですので、まず、問題にはならないのですが、それでも、大工さんが手刻みをするときなど、設計側がメートル法で設計しているのであれば、大工さんにも、メートル法のメジャーや差し金を使ってもらう必要があります。

シンワ測定HP 11105 / 曲尺同厚 ホワイト 1尺/30㎝併用目盛 名作 より引用
シンワ測定HP 10294 / 曲尺角厚 シルバー 30㎝ 表裏同目 JIS より引用

もし設計図書が、910mmとなっているところで、大工さんが「3尺」と読みますと、それだけ1mmの設計との誤差が発生します。6尺で2mmです。なんとなく誤差の範疇じゃ?な感じもしますが、結果として1間で2mmも誤差がでるわけですので、冷静に考えてもらうと、8畳間(2間)の寸法で4mm、建物の間口5間とかになりますと、簡単に10mm、1cmの設計との誤差が発生してきます。なので、デカい建物になれば、設計との誤差はすごく大きくなってくるわけです。

そして、これが、基礎屋さんたちがコンクリート工事で型枠施工などをするのが、メートル法のスケールだったりすると、もはやその誤差の影響はさらにデカくて、アンカーボルトと柱の位置が微妙に広かったり、狭かったり(厳密には狭いのはいいんですがw)と、施工上も大きな問題になります。

本来は、「テープ合わせ」など各々の測定誤差を無くすために事前に使うスケールなどを取り決める必要があるわけですが、一般的な住宅レベルではそんなことをする現場はまずないでしょうから、個々の職人の意識の中で、3尺=910という読み替えをして、910mmで測る人と、3尺で測る人がごちゃまぜになると、簡単に建物にズレが生じてくるというわけです。でも、打合せなどで、3尺とか1尺とかそういう寸法で表現したほうが、スケール感が沸くときもあるので、尺貫法を完全否定できないのも現実です。いずれにしても、設計図書の寸法がメートル法記載であれば、しっかりそれに準じるのは基本中の基本ですがw

現場施工で使うメジャーで、尺目付きのメジャーを持っている人も多いですw

これを見ても、尺貫法とメートル法の微妙なズレがわかると思います。

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