当たり前になっているシックハウス規制の落とし穴

今では建築設計における「シックハウス」という部分の話しは、法規制もあってかなり厳しくなっていること、また、その法体系に準拠するための材料供給も、ほぼ一般的な材料まで含め波及しているので特段問題にされることはかなり少なくなってきました。どちらかというと、今の「シックハウス」の悩みどころとは、ホコリやハウスダスト、PM2.5などの微粒子等による空気汚染が原因で引き起こされることが主であって、建材に含まれるホルムアルデヒドなどの薬品の放散によるものは本当に少ないと思います。

ところが、実は「そうでもない」ことがありまして、その原因は「家具」だったりします。

建築設計における規制は、平成15年(2003年)7月1日に制定された、建築材料に対する規制(ホルムアルデヒド放散等級の制定とF☆、無印の使用禁止)と室内換気設備(24時間換気の義務)により、室内仕上げ材等の薬品含有についての規制が強化されて20年以上たちましたが、ここで規制を受けるのは、建築設計確認申請および施工完了時点での完了検査でその品質を確かめるだけで、引渡し後の家具などについては、事実上、規制を受けていません。

例えば、ダイニングテーブル、イス、カーペット、カラーボックス、机など、引越し後に生活で使う家具というを新調した際、ホルムアルデヒド発散等級を確認せず、単に、価格が安い、デザインが良いということだけで購入し室内に配置すると、思わぬところで薬剤の放散がはじまり、結果として薬物による「シックハウス症候群」を発症する可能性があります。

また、DIYなどで、ベニヤ板などで本棚や収納をつくることもあるかと思いますが、その際に使われる材料をホームセンター等で購入される場合、F☆☆☆☆などのマークが一切ないもの、また、製品説明に記載がないものを購入して使用することでも同じような問題が発生します。梱包をあけると、たぶん鼻につくような臭いがすると思います。

こうした問題は、材料価格、製品価格が極端に安い場合に発生します。元々、国内産に対しては法規制は有効ではありますが、海外製のものにはそうした規制を考慮していないものが多いです。もちろん、輸入元がそのあたりをちゃんと管理しSDS(安全データシート)をそろえているようなところもあります。従って、家具の購入、DIYでの材料購入の際には、少々、この点を気遣ってほしいと思います。

ただし、これらのホルムアルデヒド放散等級のマークは、ホルムアルデヒドが全く放散しないことを示しているわけではありません。「F☆☆☆☆」は、1時間あたり、1㎡あたりの放散量が、5μg以下であるものに表示されるもので、ゼロの場合は「告示対象外製品」となります。

仕上げ材の説明の際に、「F☆☆☆☆を使うのでホルムアルデヒドはゼロです」は全く間違った説明ですので、ごく微量でもシックハウス症候群を引き起こす場合には、もっと内装仕上げ材や家具に気を遣う必要がでてきます。このあたりは重要な設計上のご要望になります。

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