新築住宅の要求される省エネ水準

今さらな話題ではありますが、新築住宅における省エネ基準水準が2030年に確実に義務化されることを目標に国は助成金をはじめとする施策に対して準備を進めています。というか、現在進行形です。

2030年に義務化とされる住宅の省エネルギー性能は、

「ZEH水準」

といわれる性能レベルとなります。ZEHというと「ゼロエネルギーハウス」の頭文字をとってるわけで、文字通りエネルギー消費量が「ゼロ」になるというレベルの性能なのか!と思われるかもしれませんが、実はそうでもないのですwww ここに「ZEH」と「ZEH水準」の違いがあるってのを知らないとダメです。

まず「ZEH」とは、以下の4つの基準値を満たす住宅の省エネ性能を指します。

①ZEH強化外皮基準(地域区分1~8地域の平成 28 年省エネルギー基準(ηAC 値、気密・防露性能の確保等の留意事項)を満たした上で、UA 値[W/m2K] 1・2地域:0.40 相当以下、3地域:0.50 相当以下、4~7地域:0.60 相当以下)
※福井県では以下の地域区分


省エネ基準地域区分(マグイゾベールホームページより)

②再生可能エネルギー等を除き、基準一次エネルギー消費量から 20%以上の一次エネルギー消費量削減
③再生可能エネルギーを導入(容量不問)
④再生可能エネルギー等を加えて、基準一次エネルギー消費量から100%以上の一次エネルギー消費量削減

これらの4つの基準を満たすというところでなんだかハードルが高いのでは?と思われる方もいますが、福井県においては、UA値については0.6相当以下ということで、実は暖かい地域と同じレベルの性能でよいことになります。このUA値が後々重要になってきます。

では、「ZEH水準」ってなに?ってことですが、その基準は、

①ZEH強化外皮基準(地域区分1~8地域の平成 28 年省エネルギー基準(ηAC 値、気密・防露性能の確保等の留意事項)を満たした上で、UA 値[W/m2K] 1・2地域:0.40 相当以下、3地域:0.50 相当以下、4~7地域:0.60 相当以下)
②再生可能エネルギー等を除き、基準一次エネルギー消費量から 20%以上の一次エネルギー消費量削減

だけですw 簡単に言えば、外皮基準とエネルギー消費量の部分「だけ」がこの「ZEH水準」をクリアするための基準でしかありません。では、もう少し深堀りしますが、実は、ZEH基準なるものが出る前には、平成12年(2000年)から運用開始された

「住宅性能表示制度」の省エネ等級4

というのものが最高に高い性能レベルとされていたわけです。この性能レベルですが、25年の月日を経ることで住宅に使用される建材関係も発達し、もはや、普通に建てても等級4をクリアしてしまうレベルなのです。具体的には、地域区分6で言えば、

UA値<0.87以下

となります。となりますと、もはやだれがどう建ててもクリアできてしまう「等級4」レベルの性能では現状維持か古い建物がなくなっていく分でわずかに微増する程度ですので、抜本的な水準を高める必要が出てきたというわけです。そこで2022年に創設されたのが、等級4の上、「等級5」というもので、これをZEH水準として事実上の「基本ベース」とするというのが現在の国策としての省エネ基準なわけです。以下の画像は、2022年に国交省が新基準等級創設にあたり公開された基準案資料です。

この「ZEH水準」という言葉は、すでに補助金や減税施策においても使われている表現です。例えば、省エネ2024及び2025における「子育てエコホーム支援事業」や「子育てグリーン住宅支援事業」では、新築住宅に対する補助要件の先頭に、「ZEH水準住宅である証明」という文言があります。


国税庁 タックスアンサー
No.1211-1 住宅の新築等をし、令和4年以降に居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除)

国策としてエネルギー消費量を削減させること、同時に、CO2排出量の削減も実現するということで、特に建物の中に人がいる時間が長い「住宅」においてエネルギー消費量を下げることは国際的に取り決められた環境基準を国としてクリアするために、諸制度に求められる基本ベースの性能を「ZEH水準」に決めたというわけです。

ただし、これらの決定はあくまでも「新築物件」に対しての基準制定であって、「既存建物」に対する増改築工事、リフォーム工事については求められているわけではありません。これは既存部分の省エネ評価のハードルが高いことも起因していると考えています。ですが、補助金などについては、既存建物に対するものも数多くありますので、このあたりで新築にこだわるか、それとも既存建物の改修とするかは悩みどころかもしれません。

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