木造の構造規定法適合審査を今一度考える その1

さぁ、いよいよ、4月からの法改正運用開始ですw 待ったなしですw 今更、準備だの対策だのっていうことを考えているっていうのは、これまでの4号建築物に対する構造面での設計を全く意識していなかったという証拠ですので、今更悔やんでも仕方がありません。

ですが、それなりに設計していたとしても、4号では構造規定に関する厳密な審査はされていないわけですので、1号などの審査で緩和なし建築物を木造で経験していなければ本格的な構造規定に対応する経験はないと思われます。そこで、現行法での4号レベルが、新2号となることで構造規定に関する適合審査を考えた場合、ちょっとした落とし穴があることをご紹介します。それは「柱の接合部の規定」です。

金物を付けるのは当たり前なんだから、そんなのN値計算ができればいいんじゃないの?って思われるかもしれませんが、実はそこが落とし穴だったりします。N値計算を行うのは引抜力の略算を行い、その結果によってどのレベルの引抜力に対応することができる金物を使うか?を決める「だけ」です。そして、構造規定に関する仕様規定は、あくまでも、「告示 平12建告第1460号」に記載されている「表三」を準拠することになります。以下、内容です。

ここまでは当たり前の話しなんですが、ここからN値計算に論を展開しますと、N値計算で求められたN値によって必要耐力が定まってきます。こんな感じです。

N値によって告示の第三表のどれを使うか?が決まるわけですが、仕様規定ではあくまでも上記の表の右欄に記載されている金物の仕様でなければなりません。でも、おそらく、大半の方は、

い~ぬの金物でメーカーから出されているものを使えばいいじゃね?何いまさらいってんの!

って思うでしょうwww 確かにその部分はそれでいいんです。ですが、その根拠条文はどこに記載されてるか意識してますか?w 告示には(い)~(ぬ)の仕様が記載されているだけで、別に告示の中に、具体的に、TANAKA のシナーコーナーとか、カネシンのBXエーステンプレートとか書いてあるわけじゃないですよね?でも、みんな平気でメーカーの金物を使ってるのは、告示の仕様規定にある、

「又はこれと同等以上の接合方法としたもの」

って書いてあって、メーカーが出しているカタログ情報などから、そのメーカー製の金物が(い)~(ぬ)に対応してるから使ってるわけです。さて、ここで問題なんですけど、この「「又はこれと同等以上の接合方法としたもの」ってなんでわかるんですか?カタログに

こんな感じで(は)対応って書いてあるからって思ってますよね?確かに、カタログベースではそうなんですけど、これまでそれで通用してたのは「構造仕様規定に関する審査省略」があったから、N値計算によって決められた金物のどれ?について審査されることがなかったからなんです。

非住宅などで、構造規定の審査を受けるとなると、告示で決められている仕様を使わないのであれば「根拠」を示すことになります。それが「又はこれと同等以上の接合方法としたもの」という文言に対する審査ですが、それって単にメーカーさんが、「(は)や!」っていってるだけではダメなんです。ちゃんと試験結果を認定機関などで評価してもらって、強度的に対応できているという認証をもらっているから「(は)や!」って言えるわけですwww

では、この認証の内容ってのをちゃんと精査したことがありますか?ってのが、審査を受けるにあたっての設計者としての必要な調査なわけですが、何をもって調べるかといいますと、「接合部性能試験成績証」といわれるものなのです。せっかくなので、「BXカネシン BXエーステンプレート」の成績証を示します。

試験の内容や結果などを一覧にまとめた表です。実は、このほかにも試験の経過などもついてまして、もっとページ数は多いのですが、重要なのはこのページになります。さて、ここでよーーーーく見てほしいんですが、

これ、試験体の仕様なんですが、重要なのは寸法と樹種なんです。例えば、柱ですが105角です。試験で105角を使ってるわけですので、これより下回る材寸法のものは「対象になりません」。また樹種は杉KD材です。これも同じで、これ以下の強度になるような材料は使えません。横架材も同じです。105角以上の材寸法ですので、例えば90mmの梁にこのプレートは使えないわけです。

次に重要なのはこの部分です。試験内容です。ここに(中柱型)とあります。この試験結果で示されている金物は中柱でしか使えないことを示します。もちろん隅柱の試験結果があれば隅柱にも使えますが、少なくともこの「BXカネシンエーステンプレート」には隅柱の試験結果と認証はありません。ですので、角の柱にエーステンプレートを設置することはできないのです。そして最終的にこの金物の持つ耐力が記載されています。

BXカネシンエーステンプレートを、設計で採用して現場で使うのであれば、構造仕様規定にのっとるのであれば、「(は)が要求される柱の位置で、かつ、中柱で使う」ことができるというわけですので、確認申請で構造仕様規定に準拠するということを示すのであれば、この試験結果証は添付書類として必要になるということ、さらに、柱の樹種、寸法、取付る横架材の寸法まで審査される可能性があるというわけですw というか、それを理解せずに告示以外の金物を使えないということを理解する必要があるというわけですw

ちなみになんですが、TANAKAのグレートコーナー25kNというのがあるんですが、これの軸組材料は2つの試験結果があって、

欧州赤松か、無等級でもヒノキってことになってますw あと材成は150ですので、120mmの頭繋ぎ程度では使用できませんw

というわけで、構造仕様規定に準拠するっていう意味で、おそらく金物は鬼門になるということをご紹介しましたw

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