木造住宅の耐震化と行政

8月11日、越前市で開催された公明党福井県本部主催による「夏季議員研修会」にお招きいただき、木造住宅の耐震診断・補強プラン作成、および、耐震改修工事に関する「現場の声」ということでお話しさせていただきました。内容は以前、ブログでもご紹介しました「R6年度 第1回木造住宅耐震改修現場見学会」でお話しさせていただいた内容をベースにしておりますが、国会議員の方も含め、県・各市町の議員の方も大勢お見えになったこともり、少し法律的な部分も含めて、耐震化の補助の現状をお話ししました。

そのときの内容が、「公明新聞 2024年8月31日版」にて掲載されたようで、参加された議員の方から掲載記事が送られてきました。

木造住宅の耐震に関する補助事業で、いわゆる入口としての「耐震診断・補強プラン作成」への補助という面では、福井市においては「無料」ですし、その他の市町についても1万円程度の実費負担ということですが、診断のハードルを下げることで、誰でも気軽に木造住宅の耐震についての調査を受けられることは良いことですが、現状では結果としてそれが「耐震化のための工事」には結びついていないという現状があります。

これまでもお話ししてきていますが、旧耐震基準の住宅を新耐震基準で耐震診断するわけですから、ほとんどの建物は新耐震基準を満足する耐震性などないのが現状です。つまり、今の住まいがどのくらい耐震性があるのか?という視点での耐震診断は「ムダ」なわけです。本来、耐震診断とは、どのように補強を行えば合理的であるか?ということを判断するための「基礎調査」にすぎません。この部分を補助事業を展開する行政サイドがしっかりと認識し事業運営をしていただかなければ、結果として、

 「診断や補強プラン作成は行ったが改修工事は行わない」

という案件ばかりが増えることにしかなりませんし、これが現状なのです。逆にちゃんと補強工事を行いたいという強い希望を持たれている方に、補助事業の予算がつかない(もれる)ことになり、補助事業自体の目的が完遂されないのです。

また、耐震改修工事だけに着目するのではなく、生活上の不便をなくすための改修工事、例えば水廻りの改造や間取りの変更など、建物に手を入れるときに「ついでに」耐震改修工事を行うということを「当たり前」な発想にしていくことも重要なのです。

議員研修会では、このような内容のお話しをさせていただきましたが、議員の皆さんは非常に興味をもってお聞きいただきました。弊社といたしましては、補助事業は国策として展開されていることもあり、行政との窓口になる議員の皆さんには「現状」と「理想」をしっかりとお伝えし、国、県、各市町の今後の議会運営を通じて少しでも木造住宅の耐震化を推進していただくため協力は惜しまない姿勢を続けたいと考えています。

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