木造住宅の耐震改修

震度5強は、ほぼ未経験な福井県民

福井における感覚ではありますが、76年前の昭和23年(1948年)に発生した「福井地震」をご経験し、それを記憶している方は相当ご高齢であり、大半の方はおそらく、この能登地震による揺れが人生で最も揺れた地震として経験されたのではないでしょうか?

令和6年1月1日に発生した「令和6年能登半島地震」では、福井県嶺北において「震度5強」を観測しましたが、実際、震度レベルで5強というのは相当な揺れです。そこで、過去の地震による福井県内で観測された震度5以上の地震発生について調べてみました。

気象庁 震度データベース検索
https://www.data.jma.go.jp/eqdb/data/shindo/index.html

すると、なんと福井県においては、今回の能登地震を含めて、

気象庁 震度データベースより震度5以上の過去県内観測リスト

3回だけ。しかも、震度5強の経験はこれまでではじめてなのです。お問合せをしていただいたお客様は口々に「こんなひどい揺れは始めただ!」ということを言われますが、まさにその通りで、あの阪神大震災のときでも震度4を観測したにすぎません。

福井震災を経験している福井県は地震防災意識は高いのか?

つまり、歴史的にみて、過去に「福井地震」という凄まじく大きな地震を経験している福井県ですが、たしかに、その経験は、語り継がれることはあったとしても、今、県民の大半の意識の中に揺れの強さや被害についてが経験値として染み込んでいるのか?というと、実際は未経験なのです。これまで震度5弱程度ですら、2回しかありませんし、震度4では、福井地震以降20回程度です。

気象庁 震度データベースより震度4以上の過去県内観測リスト

言い換えれば、建物に影響を及ぼしたり、地盤に影響を及ぼすほどの揺れには「未経験である」と言えるわけです。木造住宅の耐震化についても、結果として、これまでの地震経験での揺れが弱かったから、震度5強よりも大きなものが発生したときにどうなるか?という想像力がないのは仕方がないことかもしれません。ですが、能登の惨状を見れば、同じ北陸で、同じような住宅の作りであるものは多く存在しています。市街地における宅地分譲地において、いわゆる新耐震基準をベースに設計された建物は多いですが、郡部にいけばいくほどその割合は減っていく傾向にあります。

なぜ建物の耐震化が必要なのか?

なぜ建物の耐震化が必要なのか?これをご理解いただかないとはじまりません。一般的にこのような言われ方をすると思います。

「建物の耐震化をすすめて、あなたの命と財産を守りましょう!」

これは間違いではないですが、実は、もっと大切な理由があります。あなたの住宅が田んぼの真ん中にポツンと立っていればいいですが、たいていは、道路沿いに玄関を構えて立っていると思います。また、お隣さんと軒を連ねるような形で街並みを作っていると思います。そんな中、地震であなたの住宅が倒壊するとどうなるか想像できますか?

もしあなたの家が倒壊してしまったら、その家が道路を塞ぎ、消防車や救急車、救助のために駆けつけた人の行くてを阻むものになるのです。地震で火災が発生しても、消防車がいく手を阻まれれば、消火がおくれ延焼してしまいます。地震でちゃんと耐えた隣近所の建物を、あなたの家が倒壊し道路を塞いでしまったがために全焼させてしまうわけです。おわかりでしょうか?住宅の耐震化は、あなたの命と財産だけを守るのではなく、社会を守ることにもつながるのです。

耐震改修工事を計画しましょう!

福井県においては、各市町を窓口にして、「耐震診断及び補強工事」に対して助成金を出しています。

福井県 木造住宅の耐震化に関する補助制度について
https://www.pref.fukui.lg.jp/doc/kenchikujyuutakuka/mokuzoutaishinkaisyuu.html

まだ、診断も補強プラン作成も受けたことがない、昭和56年6月以前の建物には、この制度を使って診断と補強プランの作成を行うことができます。どこに頼んでよいかわからない場合は、各市町を窓口申し込みをしていただければ、「福井県木造住宅耐震診断士の登録」を行っている建築士を派遣する仕組みです。また、弊社をはじめ、建築士事務所協会に登録している設計事務所に直接依頼することでも同様な手続きが可能です。

福井県 福井県木造住宅耐震診断士の登録について
https://www.pref.fukui.lg.jp/doc/kenchikujyuutakuka/taisinsindansi.html

少しでも住宅の耐震性に不安や疑問がある方は、是非、お問合せ下さい!

過去に耐震診断や補強プランを作成したものも大丈夫なの?

今から5年以上前に助成金を利用して木造住宅耐震診断を行った方が、元日の能登地震を見て耐震改修工事をしたいというご相談が相次いできております。「診断も補強プランもずいぶん前のものだけど、能登地震をみてなんとかしたい」というお問合せが多いです。

大丈夫です! ただし、その診断や補強プランが妥当であるかどうかを再検証する必要はありますが、概ね問題はないと思います。また、生活スタイルや、住宅そのものに対しての耐震以外の要望もあるかと思います。せっかくお金をかけて耐震化するのですから、そういった耐震化ではない部分も含めて、皆さん方が希望する住まいをつくるという「耐震リフォーム」という考え方をおすすめしています。

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