以前のブログでも書きました「住まい・建築・不動産の総合展」でみた、若井産業株式会社さんの「木質構造用ねじ」を掘り下げて検討していますw
まぁ、これなんですが、

土台、梁(以下、横架材)と柱の接合箇所は、水平力が加わることで、柱に横架材から引き抜かれる力が加わります。従って、この引抜力に対抗できるだけの補強が必要になります。
構造計算をしようが、基準法仕様規定に準拠しようが、何らかの形で評価した「引抜力」に応じた金物設置を求められるわけですが、一般的には、プレート等の金物で対応するわけです。そこで、画像のような金物を取り付け構造計算をしようが、基準法仕様規定に準拠しようが、何らかの形で評価した「引抜力」に応じた金物設置を求められるわけですが、一般的には、プレート等の金物で対応するわけです。そこで、画像のような金物を取り付け


もちろん、柱には「ほぞ」というモノが付いていて、横架材には「ほぞ」を受けるための穴が開いています。「ほぞ」を差し込んだときの摩擦力である程度の引抜には抵抗できるわけですが、筋交いなどで受ける力が大きくなりますと「ほぞ」では持たないわけで、柱と横架材、筋交いで構成されているような耐力壁が柱が引抜ことで最後まで耐力を発揮できずに建物が瓦解するということになります。従って、木造の場合には、最終的な状況まで、柱が横架材から「はずれない」ことが耐震性の「肝」になります。
ですが、この金物は、元々金物がもっている「耐力」がありますので、その金物の性能以上の力が引き抜かれる力として加わると壊れてしまいます。よって、大きな「耐力」が必要な場合には、それなりの金物を使うことになります。


単なるプレートでなく、L型になったコーナー材や、ホールダウン金物というような基礎から引っ張りこむような金物など、これらが柱の上下(柱頭・柱脚)に取り付くわけですので、金物に干渉することも懸念されるレベルになってきます。さらに、金物を建物の各所で取り付けるために、金物とビスを持って現場内をウロウロすることになりますので、数が多くなれば、持ち運びの面でもメンドクサイ話しになりますw
そこで、この「プレートのような金物」を全く使わないという選択肢の一つとして、「ビス止め」だけですませないかな?ということで「木ネジ止め」については結構前から考えていました。
若井産業株式会社さんの「木質構造用ねじ」のホールダウンには、構造用ねじとしての発想の説明が書かれているのですが、わかりやすい絵なので引用します。

これ、柱と横架材が「ほぞ」で差し込まれているところのイメージとして使えるんですが、要するに、引抜力に抵抗するためには、「A」と「B」の面が接している状況で、この「木ネジ」と「ほぞ」の部分を壊してしまわなければいいわけです。図では下向きに力が作用していますが、これが上向きに作用するイメージが「柱の引抜」になるわけで、その際、「木ネジ」に加わるのは、ネジを引きちぎる力(せん断)ですので、1本のネジがどれだけ引きちぎる力に抵抗できるか?が第1段階の性能クリアになります。
そして、「木ネジ」は木材に留まってますので、ネジ自体がもっても、ネジ穴の開いた木材の穴の部分がネジを固定しているために割れてしまいます。割裂というものですが、その限界がどこにあるか?ということが分かれば、「木ネジ」1本でどこまでもつのか?がわかってきます。これが第2段階の性能クリアになります。
最後に、ネジ1本でもたないのであれば、複数本打ち込むことになりますが、これを相互のネジによって木材の割裂などの影響がない「離れ」をどの程度とるべきか?という検討になるわけで、これが第3段階の性能クリアになります。
みなさんがDIYなどで何気に木ネジを使っていたりしますが、あれは、すべて、こうした力学的な検討がなされた結果であり、ネジの性能によって、1本でもつか2本必要か、またもっといるか?が検討されているってわけです(家具なんかではよほど重いものでなければ、一般的に材の厚みの何倍という感じですがw)。
もちろん、これを建築的に設計評価するためには、一定の設計手法をベースに接合部の耐力評価が必要になりますが、2025年久々にこのマニュアルが改訂されています。若井産業さんにお任せするってのもアリなんですが、正直、理論的な部分をしっかり押さえないでスペックだけで採用ってわけにはいきませんw 一度はちゃんと自分で計算してみないとダメなんですw
構造的な安全性を担保して、現場施工が楽になれば、それだけ施工コストも下がっていくわけですので、ちょっと検討してみようと思います。