県産杉構造用集成材の利用

弊社は、木造建築において福井県産材の木材を多用しています。いわゆる「地域材利用促進」というもので、SDGsの観点からも目標にしている項目です。福井の地域材といいますと、そのメインは「杉」になりますが、この杉材、柱や垂木、胴縁といった細長いものの材料としては一般的ですが、梁として使う場合においては、どうしても生産性の問題と強度面の問題から敬遠されることが多かったのです。

ですが、かねてのウッドショックに代表される輸入木材の輸入量激減などの影響により、地域材の利用促進は建築業界において大きな問題にもなりました。これまで輸入木材はその供給量も国産材に比べ大量であり、そのため価格も低めだったのですが、ウッドショックの影響でその価格が従来の国産材と同じレベルか、むしろ高いということも出てきました。そうでなくとも、材料単価は木材以外の部分でも高騰を続けている環境の中、物流コストがそれほどかからない地域材を利用することは、お客様の立場にたった場合にも重要です。

ですが、先ほども書きましたとおり、杉材による梁は大きなものを製材することはなかなか難しいのが現実です。原木となる丸太は大きく太い杉の木は生産性の観点からはなかなか数を揃えることができません。そこで登場するのが「県産材杉」を「ラミナ」とした「構造用集成材」を使うことになります。

ここで、構造用集成材について説明します。構造用集成材というのは、平たい板上のモノ(おおよそ厚さは30mm程度)を接着していき、必要な大きさ(梁成という)の梁をつくるものです。

この平たい板は、一本の丸太から取れる部材としては、辺材といわれる端の部分でも構わないので、その部位を特に選ぶことはないのです。

木振協 いしかわの森と木ホームページより

また、山を守るために伐採する「間伐材」といわれるものを使うことが可能ですので、集成材を製造するために間伐材を利用することで資源の有効利用にもつながります。それを地域材としての「杉」の木でできれば、いわゆる地産地消、さらに地域林業活性化による雇用促進など、まさに、SDGsなわけです。

ただし、杉はその強度が、一般的に使われる木材と比較しても弱い材料で、特に、曲げやせん断といわれる強度は低い値になっています。

つまり、杉を構造用の梁として使う場合には、その強度や特性を十分に検討し使うことが必要です。この点、弊社では、設計において「構造計算」を行い梁や柱を一本一本強度計算をしますので、適材適所で確実に地域材を使うことができます。

弊社では、「県産杉構造用集成材」を積極的に活用しています。この集成材を地域材をベースに製造してくれているのが、福井県越前市にある「中西木材株式会社」です。

お客様の住宅、施設を木造で建築する場合には、要となる木材を確実な品質のもと納入してくれる企業があることが支えになっています。

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