福井市における耐震診断補助事業

4月1日、令和6年度の福井市事業として「木造住宅無料耐震診断緊急事業」が発表されました。令和5年度は12月の段階で募集上限に達し、その後の数か月は次年度の開始を待つ方も多かったです。そんな中での「能登地震」。強震だった能登から近かった福井市北部においても相当な揺れを感じ、不安を感じる方も多かったのです。その中での福井市の事業です。

チラシにも記載がありますように、これまで、自己負担額が1万円程度であったものが、全額補助で無料となりました。もともと不安に感じてらっしゃた方が急増しているところで、さらに費用がゼロ円ということもあり、この施策自体は能登地震直後からある程度告知されていたこともあり、窓口の「建築指導課」には問い合わせが殺到しました。そして、異例の「抽選方式」となりました。抽選は、3回まであって、抽選に落ちても次回抽選に自動的にエントリーされる仕組みです。以下、詳細はホームページで。

さて、これほど関心の高い「耐震診断」ですが、実務レベルでお話しすれば、「どの程度の耐震性があるかを調べてほしい」というのは、旧耐震の建物においては遠慮のない表現であれば「ムダ」です。なぜなら、旧耐震の基準としている地震力と、新耐震が基準としている地震力は全くレベルが違うということが理由だからです。従って、旧耐震で建てられている建物の耐震性の度合いを、新耐震でのレベルで確かめても、ほぼ100%の確率でNGとなります。

では、耐震診断の目的はなんなのでしょうか?それは、

「現状の耐震性を評価した上で、補強計画を立案するため」

なのです。どのような手法で耐震性を新耐震基準に合致させるか?これが目的であって、現状の耐震性を評価する、簡単に言えば、耐震性があるのかないのかを判断するためのものではないということをご理解いただければと思います。従って、別の補助事業としてなされている、

「一戸建て木造住宅の耐震改修工事に対する補助制度【令和6年度事業】」

こちらを意識されたほうが、より安全安心を得られることになります。現状でも弊社への耐震関係のお問い合わせ多くは、「抽選など待っていられないので改修をすすめられないか?」というものです。抽選であたったとしても、改修まで行わないのであれば耐震性を担保した建物は手に入れることはできませんから。

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