耐震診断調査と図面復元

今日も耐震診断に行ってまいりました。今月だけでも3件の診断調査・補強プラン作成と、1件の過去の調査・補強プランへの変更相談があります。能登地震以降の問い合わせは依然として各市町の窓口に多数あるようです。ちなみに、補助事業で耐震診断士の派遣依頼が決定すると、

こんな感じの依頼書がFAXで送られてきます。この依頼書に受けるか受けないかの回答を行うわけですが、この段階では、備考欄に書かれている内容レベルの情報しかありません。まだ、書いてあればマシなほうですが、市町によっては空欄だったりします。もちろん、申し込まれた方の住所連絡先の記載がありますので、そこからグーグルマップなどで建物状況を確認することはできますが、年数がかなり古いとか、増築が繰り返されているなどの情報はほとんど教えてもらえない状況での依頼書となります。ちなみに、福井市からの派遣依頼は、相当細かい情報を記載してくれてることが多いので助かります。

さて、耐震診断の調査の際に、最大限に重要なことは「図面復元」です。ほとんどの古いお家では、図面の保管などなかったり、そもそも図面がなかったりのため、この「図面復元」は現状の間取りを計測していくことからはじまります。また、筋交いなどの耐力壁要素については、天井裏や床下からその端っこを捜索したりして発見するわけですが、これが壁下地や断熱材などで隠れていると結果として「入っていない」と判断せざるを得ません。また、間取りを計測していくのは、時間もかかります。正直、ダンジョン型のロールプレイングゲームでマップを書くのに等しい作業です!( ー`дー´)キリッ ときたま、息するのを忘れるくらい集中した作業になったりしますw

ところが、本日の調査では、がっつり図面があったのです!お客様が昔の書類束から見つけてくれまして、お見せいただけました!

この中に、土地区画整理法第76条関係の許可書がありました。確認申請書、同済証などは見当たりませんでしたが、許可要件での添付資料としては少なくとも図面は必要なので、それなりに整備されている「はず」の設計資料だと判断しました。いずれにせよ、図面復元作業はすさまじく楽になります。要するに、この図面と違うところを探していく、あるいは計測していくだけの作業になるからです。あとは、小屋裏や基礎の状況を天井裏、床下である程度調査する程度で済みます。

ところが、そううまくはいかないものなのですwww 実は、大きさが違うという問題がでてきましたw おそらく、建築実行前にご要望かなにかで変更したのでしょう。昔の許認可関係の書類はどちらかというと、許可を与える際の審査が厳しく、一旦、許可が出てしまえばその結果を完了検査として審査するのはハードルが低いことが多いのです。許認可ですらこの状態なのですから、建築確認申請に対する完了検査なんて、ほとんど受けることがなかったわけです(今ではそういうわけにはいきませんw)。で、問題の部分が以下の画像の部分です。台所ですが、キッチンセットが置かれている部分の全長が、おおよそ3.6~3.7mあることになっています。

ところが現状はどうかといいますと?

こんな感じです。どうみても、シンクなどの部分が3.6mあり、それにプラスされること約90cm分のガステーブルが存在しています。つまり、設計図書よりも、おおよそ90cm、3尺ほど大きな部屋になっているのです。幸い、このお部屋の上の階はありませんでしたので、2階の間取りの状況が記載と違うとはなりませんでしたが、図面がある!ということで間取りの寸法確認などを怠れば、耐震性の診断ではかなりまずい状態になりかねません。ですが、ないよりあったほうが楽になるのは間違いないのです。

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