良書紹介:土木練習帳 ―コンクリート工学―

久々の良書紹介です。建築系の方って、参考にする図書は「建築」というカテゴリーに属するものばかりを探す傾向が強いのですが、そもそも、建築分野というのは、土木分野における「建物」に関して特化した分野にすぎません。建物を考える上で土木的な知識がないとすれば、むしろそれは建物計画ではでっかい穴があくことになります。

例えば、建物は地面の上に建ちますので、当然、土についての工学的な知識をつけなければなりません。これを土木工学的に言えば「土質力学」という分野になります。水の流れを考えるのであれば、「水理学」を学んでおくことも重要です。ただ、建築でそれらの分野の知識が深く使われることはないわけですが、浅いレベルでも知識として知っておくだけで判断するのが楽になったりします。

土木分野でいいますと、高速道路などの道路橋脚や橋台、大規模な土地造成でつかう土留めのための擁壁、また、道路地下などに排水や通信インフラのための暗渠などがコンクリートで作られる構造物として例示できますが、これらの構造物は建築よりもデカいものですが、それらを作り上げるための材料というのはテッパンの「コンクリート」や「鉄筋コンクリート」です。

でも、このコンクリートや鉄筋コンクリートって、一般的な住宅にさえ使われるような材料です。その特徴は、大きな耐力が期待できる材料で、特に基礎などの重量を受け持つための部位利用することで、安定的に建物を支えることができることになります。となれば、建築に携わる者としては「コンクリート」や「鉄筋コンクリート」に対する知識は必ず必要なわけです。この知識を「コンクリート工学」としているわけです。

さて、本の紹介ですが、練習帳と銘打たれていますが、中を見れば、コンクリートや鉄筋コンクリートに関する要点と、知識を問うための問題がかかれています。内容としては、土木や建築系の学生さんが読むべき教科書的な本ではありますが、実務者としては「最低限知っておくべき知識」です。

ページの構成ですが、コンクリートに関する基本的な項目の解説からはじまり、それ関する例題があって、最終的には、その章の練習問題が掲載されています。

特に例題は、計算問題とかいうより、コンクリートや鉄筋コンクリートに関する知識を問う「穴埋め」問題も多く、おそらくこの本だけを2,3回やれば、もはやコンクリートや鉄筋コンクリートに関する基本は押さえれれると思います。何問かやってみたのですが「う!」となることも多く、改めて知識レベルでの研鑽が必要だと思い知らされました。

長く実務経験を経ていると、若いころにもっとちゃんと勉強しておけばと後悔することが多いのですが、私が学生のころの工学書といえば、小難しい数式がならんでいたり、やたら文字ばかりの本が多く、あんまり読む気にならなかったのですが、イマドキの若い方は学生さんも若い技術者さんはホントに幸せだなと思います。

というわけで、建築だからということだけで、土木は関係ないとか参考書を物色しないのは勿体ないことですよ?w というご紹介でしたw

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