良書紹介:楽しく分かる!木構造入門[増補改訂版]

以前のブログで、「N値計算」と「2025年4月 改正基準法施行」を話題として取り上げ説明いたしましたが、それに関連しての書籍が発売されました。正直、専門家よりも、一般のお客様に読んでみてほしい図書です。

お書きになったのは、株式会社M’s構造設計 代表取締役 佐藤 実 先生です。以前にも良書紹介で、「ぜんぶ絵でわかる6 建物が壊れない仕組み」という本をご紹介しました。

今回、発売された「楽しく分かる!木構造入門 増補改訂版」は、「楽しく分かる! 木構造入門」として、2015年に発売され、その後、2018年に改訂版が発売された経緯がありますが、建築基準法などの改訂に合わせながら、本の内容も改訂し、今回、3回目の改訂増補版として新発売されました。

説明は、専門チックではありません。何が必要で、何のために、そして、これまでとこれからの建築基準法でどう扱われるか?、そして、「これまで」と「これから」の建築基準法でどう扱われるか?を、非常に易しい言葉で書かれています。この点、構造というと、つい難しい表現が多くなり、とても一般の方にはなじめない内容になりがちなのですが、この「楽しく分かる!木構造入門」シリーズはそうではありません。

さて、この図書でも触れられているのですが、構造を計画する手段としては、

 ・建築基準法に規定される仕様規定に準拠
 ・品確法による計算を行う
 ・許容応力度などの構造計算を行う

という3つの手段がありますが、きっちり構造評価をするという上では、「構造計算」でなければ、ちゃんとした力学的評価はできないということは、この図書を読み進めれば、たいがい行きつく結論です。ですが、まだまだ、そこを理解していない専門家といわれる立場の人が、間取りや外観のデザインなどの意匠性を重視するあまり、構造計画をほとんどなされないうちに、プランとして決定させてしまうという誤った設計手法をとられることが、ほとんど一般的になっているわけです。これでは、お客様が、安全な住宅を求めるとしても、ちゃんとした構造評価を行った「結果」を示すことはできません。

冒頭で、専門書ではあるけれど、一般のお客様に読んでほしいと書いたのは、「ちゃんと設計をする」という意味合いでも、構造の部分だけでも、このような本が一冊かけてしまうほどのことを考えないとダメだということを理解してほしいのです。

今、住宅を検討されている方。まずは、貴方に提示されたプランがどの程度、構造を考えられているか?をこの図書を読むことでご確認いただければと思います。

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