読売新聞さんからの取材

能登地震から半年ということで、住宅の耐震性についての取材依頼が読売新聞さんからあったので、取材をお請けしました。実際の改修現場での取材となりまして、耐震調査から改修工事までの現状などをお話しさせていただきました。取材は6月27日木曜日だったのですが、7月1日にはどうしても記事として掲載したいとのお話しでしたが、なかなか進まない住宅の耐震性という視点では重要な情報発信だと思います。

令和6年7月1日 読売新聞朝刊より

掲載内容ですが、読売新聞さんのオンラインサイトのURLをご紹介しておきます。

また、全国紙ということで、Yahooニュースでも配信されています。

Yahooニュースのほうにはいくつかのコメントがあるようですが、ちょっと耐震改修に関する補助に対しての誤解もあるようなのでここで言及しておきます。

まず、耐震改修に補助を出すというのには、新築時期に対しての線引きがあります。それは、現行法の新耐震基準というものが法律改正で成立し、その法の施行が始まった昭和56年6月以前のものが対象になっています。つまり、法律改正で基準が引き上げられたことにより現行法の基準には到達しないという建物が対象であって、それ以降の「新耐震基準」で設計施工されたものは対象外です。

言い換えれば法律の改正によって、それまで耐震性が担保されているとされており、建物の資産価値として「耐震性有」となっていたものが、国が定めた法の改正によって「耐震性無」となって事に対する「補填」なわけです。ですので、自らの意思で「耐震性がない住宅」を建てたというわけではないというのが原則論であり、それに対して補助を行い現行法に合わせていただくというのが国の施策として行われているわけです。

耐震性の法的基準は大震災が発生すると改正されていくということが続き、昭和53年に発生した「宮城県沖地震」ではその被害状況がひどく、特に戦後復興が一段落ついた建築ラッシュ真っ只中に建築された建物が、ことごとく被害を受けたことから、耐震性を測る基準を改正するに至ったわけです。

もちろん、その後の阪神・淡路大震災、東北、熊本の震災でも同様で、こういった大震災が起こった際、昭和56年に施行された新耐震基準での被害状況はゼロではないにせよ、軽微であり、耐震性としては一定の水準まできていると判断できるレベルなわけです。だから、最低基準としての現行建築基準法で定めるレベルの耐震性を国費を投じて補助を出し、法律改正が「アダ」とならないようにしているのが、この耐震改修工事に対する補助事業の根底にあることなのです。

また、建物が倒れることでの影響は、その家屋に住む人の命がなくなる、財産がなくなるだけではありません。不幸にも倒壊してしまった建物が道路にはみ出せば、救出に向かうための車両が通れなかったり、けが人などを載せた緊急車両の通行に影響があったり、なにより、現在の法律では道路にはみ出したといって勝手に撤去できないわけですから、「壊れても倒れない」建物でなければ社会的な影響が大きいわけです。

この点、建築物は個人的あるいは企業的、公的であり、それらの所有権を持っている人のものであるわけですが、その建物が影響を及ぼすことが社会全般にあるので、建築基準法というもので規制しているというわけですが、その規制基準が変化する、改正されていくことで、できるだけその結果を遡及的に反映させていきたいという制度であることをご理解いただきたいです。

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