耐震改修で出くわすアルアル#6

アルアルシリーズですw イマドキの建築様式というか設計様式というか、当たり前だと思っていることが耐震補強が必要な旧耐震基準の時代、つまり昭和56年6月以前の住宅には意外と当てはまらないことが多いです。特に玄関廻りではマジで「思ったんとちゃう」という状況が多いです。今回はそんな事例をご紹介します。

よくある和風の趣のある玄関ですw ちょっと拡大しますが、玄関の土間の部分と壁との間にはモルタルで塗られた立上りがあります。

こういう状況ですと、たぶん、この壁の下には基礎があって、基礎の立上り部分の上部が見えてて、そこをモルタルで仕上げてあるのかなと思うでしょう。当然、基礎があるわけですので、土台もあってその土台に柱が立ってて~と予想すると思います。ということで、この和風の玄関の壁ですが、耐震改修を行うにあたって対象とする壁として選択したくなります。なんたって基礎もあるわけですし、最悪でも無筋コンクリートでの基礎だということが期待できるわけですので、最低でも「基礎Ⅱ」として計画もできます。もちろん、和風の趣を残したいということであれば、この玄関の反対側の部屋からこの壁に対して補強を行い、玄関からの見た目具合はこのままということでも良いかもしれませんw いずれにしても、補強できる壁としては第一候補にしたいところなわけですが・・・・・

耐震診断は当初診断としてざっくり見た目で判断して補強対象の壁などをおおよそ当て込む作業を行い、確定診断と補強プランを確定させるための「詳細調査」を行うことになります。で、この「詳細調査」で驚愕の事態が発覚します。画像をご覧くださいw

基礎なんかありませんwww コマイが下まで編んであって土壁になってます。しかもその土壁ですが、おそらく壁として見える部分は両面しっかり塗られていますが、床下部分は玄関側の土間を押さえるだけの状況になってます。要するに型枠替わりですwww

ということは、この壁は、耐力壁として評価することは少なくとも柱の下部を横架材でつなぐことでもしない限りできません(基礎Ⅲ)。というより、この壁で耐力壁を補強できると「思い込んで」補強プランをつくって実行すると、工事がはじまってから大慌てになるというわけです。つまり、着手前に詳細な調査を行うことは必須であり、見た目の調査だけで補強プランを確定させることは大変危険なわけです。

県が行う「耐震診断」はあくまでも基本調査レベルですので、何かを解体したりして内部を見るということは原則的にありません。あくまでも目視できる部分での調査です。この調査結果と補強プランさえあれば耐震改修ができるのか?といえばできないわけではありませんが、絶対に確認のための詳細調査は必要なのです。

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