アルアルシリーズですw 耐震診断で現場に伺うったときに、これを見たときの「絶望感」はハンパないです。

これ、見た瞬間にわかることがありますw ちょっと色分けしてみましたw

まず、赤の線です。もう、この屋根を見た段階で、この家に何があったのか?がわかりますw それを解説しますと、元々この家のこの画像部分は「平屋」だったのですw 青の線が元の屋根の形状だと思いますw そこに手狭になったということで2階を増築したという流れです。まぁ、ここまではよくある話しですので、「やっぱそうするよね?w」っていうレベルの話しです。問題なのは、黄色の部分です。この部分の基礎がどうなってるか?といいますと、



違和感ないですか?w 基礎がないんですよねぇ。どゆこと?って思うかもしれませんが、次の画像を見ると「なるほどwww」と思うかもですw

奥に基礎が見えますよね? これ、結構、昔の大工さんがよくやったやつで、「でっかい出窓風」にしてるんですw 出窓って別に腰窓ってわけじゃなくて、床から天井までが出窓になってるってわけで、さすがに壁が持たんやろってことで、途中途中で柱を受ける束石を立ててるってわけです。これまだ、新築時にされてるだけマシなわけで、こういうことを増改築リフォームとしてやっちゃって、キッチンを広くしたいということを叶えちゃったりします。


そしてさらにそれが、直角方向にもありますw ということは、これを平面的にみると、


こんな感じなのですが、赤の線の部分が本来の構造体としてのラインであって、そこから先は、いわゆる「出窓」のでっかい奴ってわけです。そして、現存する耐力壁としては、

上の外壁ラインと、左の外壁ライン合わせても、この赤の楕円の丸の部分にしか存在していないというわけです。こういった場合に、でっかい出窓風の壁だけを見て、壁のような部分に耐力壁を増強していくということをやったとしても、全く耐震性に寄与するわけがないのです。さらに、厄介なのは、2階の増築が、この出窓風の壁の上になされているというわけです。
こうなりますと、上の部分の2階の壁がどんなに強くても、それが水平力を受けても踏ん張り切れないわけですので、そんな2階の部分の壁を補強しても効き目がありません。そこで、まずは躯体として踏ん張れる基礎があるラインと、おそらく中通りは束石で受けている柱でしょうから、根固めをして柱が開かないようにした上で、基礎Ⅲで耐力を低減しつつ補強を入れていく方法しかありません。
いずれにしても、「匠の技」とか偉そうな顔して、自分は「大工だ!」とのたまう人ほど、こういう建物にしちゃう、フリーダムな仕事が受け入れられる時代だったってわけです。大工さんは「格好」だけつくれればいいわけではありません。そんなの「大七」か「大六」なんです。八にもいきませんw
というわけで、なんとかして差し上げなければなりませんので、知恵を絞ることにします。