地盤状態を確認するために地盤調査を行うことは一般的ですが、往々にしてあるのは敷地の一部がちょっと他とは違うという場合があります。200㎡くらいの敷地であれば、そんなに地質が違っているというわけではないという判断もできますが、地盤調査を行うとちょっと偏りがあったり、ピンポイントで弱い部分があったりすることがあります。
判断としては、敷地全体がピンポイントで「弱い」部分が続いているとして、より安全性を確保するということもないわけではありませんが、限られた予算を合理的に使うという側面では経済設計、経済施工とはなりません。この場合、「なぜ偏りがあるのか?」という理由を掴むことが求められるわけで、理由がわかれば対策も立てやすくなるわけです。
この場合、土中部分を「調べる」というわけですが、比較的浅い層で「え?」って感じの土質層があり不安に感じるのであれば、それをはっきりさせる方法はなんだと思います?w それは、
「掘ってみればいい」
だけなんですw 「えええええええええええ!」って思われるかもしれませんが、浅い層であれば掘れないわけではありません。10m下に不安な層があるとなればダメですが、1~2m程度であれば、実際に掘って目視してみれば何がどうなってるか?はわかるはずです。この作業を、
「試掘(しくつ)」
といいます。以前のブログでご紹介した「半分壊して増築する物件#5」では、表層のごく狭い一部分に、なぜか他とはちょっと弱めの地耐力が出る層がありました。
そこで、基礎工事に取り掛かる前段階の土工事の際に、試掘を行い、どういう状況の土質層であるかを実際に目で確認することにしました。ただし、建物の基礎が載る部分ですと、その後の影響も懸念されるので、敷地内で問題の地点から遠くない部分で試掘をすることにしました。試掘の場所はケースバイケースで変わります。



目標とする深さは1.7~1.8m附近です。最初はイイ感じの土でしたが、途中からは、いわゆる田んぼを作るために利用した「グライ土」と言われる土が出てきました。


目的の深さまで到達したので、土質層を確認します。


掘削の最中に、「木の幹」のようなものを2つほど確認しました。どうやら、試掘箇所の近辺に立木かなにかを伐採したものが混じった土で田んぼを作ったのでは?という感じです。何よりだったのは、地下水位が出てこないことです。元々田んぼで会った土地を埋めるということは、田んぼの面で降った雨などがそれ以下に浸透しません。この画像でいうと、灰色の土の上で水が溜まっていても不思議ではないのです。
ところが、一滴の水も出ません。田んぼから宅地にするために埋め立てて、すでに50年以上経過している土地ですので、埋めた土、この場合、表層の比較的新しい土に水がないことは理解できますが、新しい層と古い田んぼだった層の間に地下水が溜まっている状況があったとして不思議ではないのです。
この「試掘」というやり方は、大規模な建築や土木工事、また道路工事や上下水道工事を行う際によく使われる手法ですが、表層地盤の状況を掴むにはこれ以上の方法はありません。ボーリング調査よりも確実かもしれません。広範囲にわたって懸念される地番調査結果でなければ合理的な判断ができます。