前回の#5に続きます♪
地盤に関しての対応としては締固めを念入り行い、かつ、砕石をしっかりと転圧することで2回目の地耐力検査をクリアできていることを確認した上で工事をすすめました。


砕石で地業工事をおこなった上に、ビニールシートを張り防湿コンクリートとする処置を行っています。このシートを敷く目的は、土中からの水分をコンクリートに染み込ませないことで「防湿」を実現するものなのですが、ぶっちゃけ言いますと、築浅の時期ではコンクリートに含まれている水分のほうが大量すぎて、土中からの防湿よりもコンクリートから発生する水分蒸発のほうが問題になったりします。
コンクリートは水と反応して硬化する水和反応によって強度を生みますので、乾燥させるようなことはNGなのですが、素人さんへの説明で「コンクリートを乾かして~」という表現をとるのは、その水和反応を理解していない業者のゆうことで、水分蒸発が激しいときには水をまくくらいの勢いなのです。まぁ、このコンクリートの水和反応についてはまた時期をみて説明しますが、この防湿シートによって、その上のコンクリートの水分は土中に浸透していくことはほとんどありませんので、コンクリートは築浅期間は水分をどっぷり含んだ状況が続くわけです。それで、その後、ある程度、コンクリートの水分が飛んだあとは、このシートがなければ土中の水分を染み込ませることになりますので、維持管理上、やっぱし土間シートがないとまずいということにはなるわけです。
さて、基礎工事に話しを戻しますが、外周部に対して「捨てコンクリート」というものを打設して、外周型枠の留め付けなどに使っていきます。



ここで「捨てコンクリート」について説明しますが、これは「地面にでっかいキャンバスを作るためののもの」とお考えいただければと思います。はっきり申し上げますが、構造的な強度を保証するためのものではありません。あくまでも施工上、合理的にすすめるためのものでしかありません。「捨てコンクリートを打設すると基礎が強い」なんどということを説明として受けたなら、もはや技術的な知識や技能はないとお考えいただければと思います。
外周部だけに捨てコンクリートを打設するのは、外周部の基礎の立上り部分が地盤面以下に食い込むために、外部面の型枠を先に設置するためであり、もっとも、外周の基礎の通り(基礎芯)をしっかり墨出しするために施工するわけです。正直外周部に「丁張」という基準になるものがあれば、捨てコンクリートなんか要らないと言えばいらないのですが、そうなれば、型枠をしっかりと留め付けるための施工ができなかったりするので捨てコンクリートがあったほうが便利なわけです。また丁張に基準をしっかりと書いても、どうしても誤差は出ますし、正確な施工を行うのであれば、やはりしっかりと墨出しできたほうが精度があがります。

そしてこんな感じで外側の型枠を最初に組んじゃって、その中で鉄筋工事を行うというわけです。
さて、鉄筋工事ですが、4月以降の法改正により、この鉄筋工事は「審査対象部分」となります。設計図書には鉄筋をどのように配置するのか?ということを図示しますが、その図示通りに施工されているか?が「完了検査」時の審査対象になるというわけです。これを無知な現場監理者は「瑕疵保険の配筋検査を受けるから問題ない」というわけですが、瑕疵保険の検査と、建築基準法の完了検査は、全く意味が違います。
この鉄筋工事ですが、使用される「鉄筋」は、建築基準法第37条に規定される「基礎」に使用される材料ですので、指定建築材料ということになります。
建築基準法第37条(建築材料の品質)
建築物の基礎、主要構造部その他安全上、防火上又は衛生上重要である政令で定める部分(→令第144条の3)に使用する木材、鋼材、コンクリートその他の建築材料として国土交通大臣が定めるもの(以下この条において「指定建築材料」という。)(→H12建告第1446号第1)は、次の各号のいずれかに該当するものでなければならない。
第一号 その品質が、指定建築材料ごとに国土交通大臣の指定する、日本産業規格又は日本農林規格に適合するもの
第二号 前号に掲げるもののほか、指定建築材料ごとに国土交通大臣が定める(→H12建告第1446号第3)安全上、防火上又は衛生上必要な品質に関する技術的基準に適合するものであることについて国土交通大臣の認定を受けたもの
鉄筋はこの第一号に規定される、H12建告第1446号でも規定されている「構造用鋼材・鋳鋼」として定められているわけですので、当然、建築基準法上の規制を受ける部材というわけです。ですので、この鉄筋が現場に搬入された時点で、「受け入れ検査」を実施し、それを記録する必要があります。
※指定建築材料については以下のブログでも触れてます。


「受け入れ検査」とは、加工品であれ部材であれ、施工現場に搬入され、荷卸しされ、その状態で監理者がその品質の確認を行ったという証を記録として残すというわけですが、鉄筋屋さんとか基礎屋さんが勝手に現場にきて鉄筋下して帰っちゃったとかになりますと、この「受け入れ検査」は実施できません。厳しいと「持って帰って出直してきていただく」ことにさえなりかねません。で、これがまず第一段階での現場での監理となります。
品質については、納入された鉄筋について、その品質を示すマークの存在を確認し、それが設計図書と合致しているかどうか?を確認することになります。

今回の設計では一般的な鉄筋品質での設計ですので、D10~D16は「SD295A(SD295)」、D19以上は「SD345」であることを現場で確認する必要があるというわけです。



これらの鉄筋が実際に現場で組立加工されたのちに「配筋検査」というものがおこなれれるわけですが、そこでもまた、このマークを確認して、ズルしてないかをちゃんと監理することになりますwww
ズルといいますのは、このマークが付いている鉄筋は、JIS規格として鋼材メーカで作られ、かつ、その鉄筋がどこから出荷されどこで保管されていたか、そして販売経路はどうだったかという「ミルシート」と言われるものが発行されるわけですが、JIS規格でないものはこうした品質証明ができないため「安価」であることから、安い鉄筋として販売されていたりします。
鉄筋はコンクリートで隠れてしまえば、破壊しない限りあとから品質調査をすることができませんので、こうした「受け入れ検査」や「配筋検査」によって鉄筋の鋼材としての品質を確認する必要があり、それが「指定建築材料」としての品質管理というわけです。
4月からの法改正では、構造的な審査の緩和規定がなくなっていますので、この部分の品質管理上、どのような監理をおこなったのか?は完了検査時点で確認されます。されなかったら審査係が見逃してくれてラッキーな感じでしかありませんし、審査機関によってバラツキがあるかもな部分ですが、お客さんに胸を張って監理報告するためには、審査の有無に関わらず記録には残すべきところなわけです。
※弊社では、法改正以前から当然品質管理の一環として審査の有無に関わらず管理しております。