今すぐできる耐震性能アップ法

ご実家の二階、どんな感じですか?

能登地震をうけて連日耐震改修のお問い合わせや、耐震性能についてのお問い合わせ、相談が相次いでいます。特に、息子さん、娘さん世代が都会に出てしまって、ご実家には高齢のご両親だけがくらしているところでは、そばに居れないこともあって心配されている方が多いです。そんなに頻繁にご実家の様子をみることができるわけでもない、また、コストをかけての耐震改修に踏み切るにも躊躇する、理想論はあるけれどどうしてもお金の面でついてこないっていうのが現実ではないか?と思います。そんな中でもっとも簡単に、そして今すぐにでもできる耐震性能アップ法をご紹介したいと思います。まず、ご実家が二階建ての場合(三階建ての場合なら二、三階)を思い起こしてください。二階の部屋って「物置」化していませんか?

二階にどっさり荷物がある家

子供たち世代はみんな独立して、都会や他所で住居を構えているのに育った実家に画像のような子供たちの荷物がどっさりなんてことはありませんか?
・ほとんど使わない布団
・整理してない衣類を収納してあるタンス
・使わない家電品
・子供世代に使っていた家具、本、机、ベッド
などなど、使い道があるわけでも、ご両親が必要としているわけでもなく、単に自分たちの住んでいる住まいには置けないので、実家を物置替わりにしてはいませんでしょうか?ご実家のご両親さんは、お子さん世代のことを思って荷物くらい置いておいてもかまわないし、ときどき顔を出してくれることで喜びを感じるかとは思いますが、これらの不要物が建物の耐震性に影響していることをご存じでしょうか?

とにかく二階を軽くすること!

思い出の品だったり、どうしても処分するのに忍びないというのも理解できますが、建物の上部に大きな荷物類を置くことにより、簡単に言えば「頭でっかち」の状態にすることは、建物の耐震性上、たいへん不利になります。歩き始めの幼児がすぐに転ぶのは、体のバランスとして頭が大きく、重心が高くなっているためですが、それと同じことが建物にも言えます。二階や三階の重量が重くなればなるほど、重心位置は高くなっていきますので、地震で横から力を与えられるとひっくり返ろうとする力がより大きく発生します。ですから、ご両親がお暮しになる上で全く不必要なものを、二階、三階に置き続けることを今すぐやめるべきなのです。

どの程度軽くすべきなのか?

この手のご相談を受ける場合には、めざすところは、二階、三階を「がらんどうにする」レベルでとお話ししています。もちろん二階、三階を使用することが頻繁にあれば別ですが、通年を通し数回しか二階、三階を使わない、それも探し物をする程度であればそれは生活に二階、三階は使わないのと同じですので、建物の一部でない限りすべてのものが不要なわけです。畳についても同様です。

ちなみに、建築基準法においては、住宅の積載荷重の目安として、床の強度を担保するためには、1800N/㎡(おおよそ180kg/㎡)、柱梁の強度を担保するためには、1300N/㎡(おおよそ130kg/㎡)、地震力を計算するためには、600N/㎡(おおよそ60kg/㎡)というものがあります(本来は実態に即すべきなのですが、これらの数値で計算することが認められています。もちろん、これよりも大きな場合には大きくする必要があります)。1㎡当たりの重さですが、正直、2m程度の本棚に目いっぱい図書を入れ込めば、50~60kgにはなりますので、そんなのが2本あったら積載荷重としてはかなりのものになります。

要するに積載荷重としてみる部分を限りなくゼロにすることで、建物を構成する柱や梁、壁、天井などの材料による重さ(以下、自重)のみできますので、不用品を処分するだけでかなりの軽量化となり、結果として耐震性能はアップします。

耐震性能をアップさせるという面で、コスト面で躊躇するのであれば、せめて、二階、三階の荷物を処分していくことを検討してみてはいかがでしょうか?



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