「非」住宅の木造化 その3

その2に続きます

「非」住宅の場合、住宅と比較した場合、建築計画の規模はかなり大きくなります。規模が大きくなると様々な規制が増えていきます。規制の中で一番重要なものは、

「防火避難規定」

といわれるものです。特に火災に対しては、ある意味、地震よりもその発生危険性が高いので、備えとして、「耐火性能」や「避難経路」、「脱出のための備え」などを要求されます。また、これらの法規制は「建築基準法」での規定もさることながら、「消防法」による規定にも同時に対応する必要があります。このあたりが、意匠性ばかりを計画の主体に置くと、後から思わぬ法規制に対する造反指摘を受けて、最悪の場合、完成したとしても建物を使用することができなくなります。

実は、「非」住宅を木造化する上では、これら「防火避難規定」の部分に対応するために、いわゆる不燃性ではない木材を使うことがある種のハードルになることは否めません。建築計画全体のコストを落とす目的で木造を選択したとしても、「防火避難規定」への対応ノウハウがないと結果として木造施設としては提供できないということになります。また、その意味では、「防火避難規定」へ楽に対応するために、安直に、鉄骨や鉄筋コンクリート造を採用するという流れにもなります(実際、この部分の設計が楽になることは事実です)。

ですが、現在、高層ビルでさえ木造化でという流れの中、木造の耐火性能は様々な形で対応することができています。方法として、

①木材自体を不燃化する
②木材を不燃性の高い建材で「被覆」する

といったものがあります。①については、木材に不燃性を高める薬剤を注入するものですが、どうしてもコスト高になりがちですので、「内外部の仕上げ材」に対して処理される方法として使われることが多いです。②については、木材に石膏ボードなどの不燃材を被覆として張る手法です。

この画像の例は、柱、壁の木材に、12.5mm厚の石膏ボードを張り、その上に、9.5mm厚の石膏ボードを張ったというものです。これを壁の両面に施します。「45分準耐火」といわれるレベルになります。また、「メンブレン型耐火構造」とわれる考え方で、高い耐火性能を木造に持たせるということもできます。(鉄筋コンクリート造に匹敵する耐火性能を発揮できます)。基本的な考え方は画像のような石膏ボードを二重以上で張るという考え方になりますが、厚みなどが異なっていきます。

これらの手法を使うことで、木造においても柔軟に耐火性能をアップさせることは可能であり、法的に要求される「防火避難規定」等に対応することができます。

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