耐震診断の調査に行ってきました。市街地からちょっと車で走ると、サマーウォーズに出てくるようなでっかいお屋敷っていうのが当たり前にあるんですが、能登の震災以降、住人の方々の耐震性への不安がつのるばかりで、調査のご依頼があとをたちません。街中で作られる住宅とはちょっと違って、農業を主体とする家づくりで、使われている材料も柱が300角のケヤキとか当たり前なので、正直、重量による抑え込み効果もあって、いわゆる現代建築での耐震性の評価にはそぐわないことも多いです。まぁ、そういう調査の中で今日は久々に「本物の仏間」に遭遇しましたw まずが、以下の画像をご覧くださいw
外壁部分に謎のハッチのような開口部があります。これなんだと思いますか?この開口をみて「○○だ!」とわかる大工さんや建築士さんも少ないんじゃないかなって思います。それでは次の画像をご覧くださいw
久々にみました。これこそ仏教が盛んに信仰されていた福井ならではの「仏間」です。現代の一般的な仏間というのは押入の延長で仏壇を収蔵しておく場所的イメージだと思いますが、福井の田舎のお屋敷ではお寺の「内陣」を形どった「仏事を執り行う間」をつくります。
この仏間には付帯して、お寺の方の「控えの間」がつくられます。ここで、お坊さんにお茶をだしたり、御着替えをしていただいたりします。客間とは別次元の場所です。それでは問題の開口部ですが、以下の画像をご覧いただくと仏壇の後ろ側になにかありますw
実は、この外壁部分の開口は仏壇の取出しを行うための開口なのです。住人の方は「火事のときに仏壇を出すところや!」とおっしゃいますが、火事のときにこんな大きな仏壇を担いで出ることができるのか?というとちょっと疑問ではありますが「設備機械の搬入などのメンテ用マシンハッチ」と同等の用途で使われます。
ちなみに、弊社の大工さんは壁をみて「おぶったんだすとこやろ?久々にみたわwww」とw まぁ、古民家というレベルでもおそらく珍しい部類だと思いますが、信仰心の厚い福井の人たちが、その昔から大切にしていた仏壇を建築的にどのように位置づけていたか?ということもすごくわかりません。
さて、この建物の耐震補強計画をどうするのか?古いばかりではなく、大きさもデカいので(100坪軽く超しますw)、しっかりと検討したいと思います♪