以前のブログでご紹介した耐震改修の現場です♪
「天井を解体したら空が見える」という「びっくり」だったわけですが、お客様と相談の上、屋根改修を急遽行うことになりました。元々、瓦が載っている前提での耐震補強プランだったのですが、その際には屋根改修は計画にいれていなかったために、評価としては「重い屋根の住宅」としての評価でした。今回の屋根改修では板金による屋根仕上げということにしました。これにより「軽い屋根の住宅」として評価できるようになるわけで、耐震上もより有利になります。そして瓦を降ろし始めたのですが、
さて、問題の下葺ですが、結果としてわかったのは、「下葺はしてあった」ということです。ですが、画像のようにすでに下葺自体がもろもろと風化しており、無いのと同じようなレベルだったというわけです。そして、瓦を捲る前から軒先の具合がおかしい、正確には「折れている」ような感じでした。瓦を降ろしてそれが顕著にわかるようになりました。
野地板を外して調べると、軒先の梁の部分で「屋根垂木」が折れていることがわかりました。合計で3本折れていました。このままにはしておけませんので、修復をしなければなりません。そこで、折れている屋根垂木に沿わせて垂木をいれます。
軒先の梁とその上手にある「母屋」という部材まで屋根垂木を差し込み、折れている屋根垂木に沿わせて留め付けるのですが、画像は留め付ける前の状況です。折れていることが一目瞭然です。
軒先をグッと持ち上げ、折れている屋根垂木と差し込んだ屋根垂木とが、上面で揃ったところで留め付けます。
これで軒先の復旧は完了です♪ 野地板を復旧させます。さて、ここで、北陸の住宅の屋根でとても大事な作業があります。それは、屋根の先端、端の部分に、木材を打ち付けることです。部材としては「広小舞」、「登り」と呼んでいますが、本来、伝統工法での「広小舞」のような部材ではないですw
そして、今回は、既存の野地板を撤去せずに構造用合板を上張りすることにいたしました。これには理由があって、野地板を外すことで問題のない屋根垂木を痛めてしまう恐れがあること、さらに、廃棄物量も増えるためコストが増大するためです。構造用合板は、通常より長めの釘で屋根垂木まで到達するように打ちます。
さて、先ほどの「広小舞」と「登り」ですが、雪の降らないところでは、この構造用合板を突きだすように施工することが多いかもしれません。ですが、雪が降る福井で、しかも、かなりの水分が入っている雪が屋根面に積もれば、軒先の部分に雪庇のような形で載り続けます。すると、雪庇は屋根の裏面まで巻き込むようになりますので、軒先の通常、雨の当たらない裏側にも接触します。これにより構造用合板が水分を含み傷む原因となります。もちろんその水分は雪がある間ずっと合板に含み続けますので、軒先の腐食がすすみます。
軒先や屋根端の部分に合板ではなく木材を使うのは、合板よりも濡れに対して強く、乾けばある程度問題がない状態になることから使うようにしています。
耐震改修では屋根を軽くすることは、建物全体の重さを軽くすることになりますので、耐震性能はそれだけでもアップします。また、耐力壁などを増強させる場所、数も、減らすことができます。古い住宅で屋根瓦の改修などを一度もやったことがないのであれば、耐震改修の際に屋根軽量化を図るような計画を行うことをお勧めします。