基礎にまつわる謎の説明#3

基礎にまつわる「変な説明」というか「都市伝説」みたいなものを披露する「#3」ですw

今回も、株式会社M’s構造設計 代表取締役社長の佐藤実先生がSNSで話題にした内容で、わかりやすいイラストをお借りしますw 毎度毎度すみませんw

【誤解3 布基礎はもう古い、今はベタ基礎の時代】

これはよく用いられる営業トークかもしれませんw 「布基礎」と「べた基礎」って鉄筋を施工しているときの見た目が結構違います。以下に画像を示します。

これだけ見るとなんとなくですが、「べた基礎」のほうがすごく強固に見えますよね?w なので、営業トークとして次のような話しを聞くかもしれませんw

弊社はべた基礎を標準としていますので、すごくしっかりとした基礎になります!耐震性もすごく高まります!布基礎は弱いので基礎が下がって床が傾いたりすることもあるんです。だから、べた基礎を採用している建物は最先端な住宅なのです!

とまぁ、よくも言えたもんだなぁと感心するくらい、「適当なこと」を言ってるなぁと思います。結論から言うと、こういう説明を行う工務店や設計士は「信用できない」ですし、まず、基礎というものを理解していないわけですので、こんなところに建築をお願いすること自体「間違っています」。

べた基礎にしろ、布基礎にしろ、地面に面している部分があります。布基礎の場合「フーチング」(ベースという方もいます)といい、べた基礎の場合「耐圧版」(べたベースという方もいます)という言い方をします。で、どっちも、基礎の立上り部分の下に「面」になっている部分をつくって、建物からの重量や力を地面に「面」で伝えている構造になります。

例えば、砂浜に棒を建てると棒は食い込んでいきます(福井弁ではちっくりさすっていいますwww)。でも、板状のものを敷いてもその板の上に載っても板が砂浜にもぐっていくことはないと思います。要するに上からかかってくる力を受ける面積を大きくすれば、圧力は小さくなるってわけです。

これが布基礎とべた基礎にどう関係があるのか?といますと、どちらの基礎もフーチングか耐圧版で上からかかる力を面で分散しているわけです。ですが、その違いは「面の大きさ」です。建物から基礎に伝達される力は、布基礎でもべた基礎でも同じです。ということは、地面に加わる「圧力」は、力を面積で割ることで計算できますので、

布基礎で地面に伝わる圧力>べた基礎で地面に伝わる圧力

ということになります。つまり、布基礎のほうが、単位面積当たりでは、地面に大きな力を加えることになるわけです。となりますと、地面が変形しない、つまり、沈まないようにするためには、基礎から伝達される力が地面が持つ「地耐力」という重量を支えることができる能力が高くなければなりません。ということは、布基礎はべた基礎よりも大きな力を伝えてしまいますので、布基礎を採用する場合には地面の地耐力も強いモノが必要だということになります。

なんか、これだけ聞くと、べた基礎のほうが強いのでは?という誤解を生みそうですが、実際の写真をご覧になればわかるように、布基礎は基礎が欲しい部分だけ鉄筋を組立、コンクリートを打設すればいいのに対して、ベタ基礎は「耐圧版」が破壊されないように、しっかりと全体に鉄筋を加工しなければなりませんし、当然、建物全体の面積と同じ部分掘り下げなければなりませんので、その分コストが増大します。

すごく、アバウトに双方の特徴を書くと、こんな感じになります。

布基礎  メリット:コスト安      デメリット:要求される地耐力大
ベタ基礎 メリット:要求される地耐力小 デメリット:コスト高

これを、地盤補強の必要性のレベルや、計算の結果、建物重量が増大した場合など、どちらで対応したほうがコストパフォーマンスが高くなるか?を検討するのが「設計」なわけですが、そのノウハウがない工務店や設計士は、先ほど書いたような、とんでもない説明をしますw

布基礎とべた基礎のどちらが優れているか?が問題なのではなく、地盤の強さの状況と、建物から加わる力をしっかり分析した上で、どのような基礎を採用したほうがコストパフォーマンスがよいかということをしっかりと検討することが重要なわけです。


◎株式会社M’s構造設計


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