今季、最強寒波を迎えた福井ですが、福井市内平野部でもそれなりの積雪となりました、積雪は20cmというところです。正直いいますと、大したことはなくてよかったなぁという感じです。私が子供のころは普通に1m前後の積雪はありましたし、屋根からの雪が落ちて家の周りは雪山ばかりで冬の遊びは、その雪山でソリやミニスキーという感じでした。 ただ、雪の降り方がちょっと違ってて、小さいころは「ずっと雪」で少しずつ積もってきたという感じで、結果として1m内外な感じですが、最近特にひどいと思うのは、一時にドカ雪がくるということです。一晩で降る雪の量がハンパないってことです。夏場はゲリラ豪雨ですが、冬場はそのままゲリラ豪雪になるって感じです。
さて、今日は、ちょっと皮肉な話題かもしれませんw 「雪の断熱効果」についてです。皆さんも「かまくら」ご存じですよね?雪山を丸くくりぬいて中に入れるようにするものですが、この「かまくら」の中で、火鉢で暖をとっても雪山は融けませんし、さらに暖かいことでも知られています。

内部で相当な熱が発生しても、雪が持つ「潜熱」というものを超えなければ雪が融けてしまうことはありませんので、内部で火鉢を焚いても問題がないというわけです(雪の潜熱とは、雪が相変化する際に周囲の環境と交換するエネルギーのことです)。この雪の潜熱は相当大きく、昭和38年の「サンパチ豪雪」では、あまりの雪の多さに自衛隊が「火炎放射器」を持ち出して雪を融かす作戦に出ましたが、全く効果なく取りやめたということもあったくらいです。実は、それくらい雪というのは、融かすという点においては厄介なものです。
ただし、この雪の潜熱ですが、1m四方の塊と、1cm四方の塊ではその量が全く違います。雪がデカい塊になればなるほど潜熱量もデカくなりますので融けにくくなります。雪国の知恵として、「雪を散らす」という除雪の方法があるのですが、これは雪を山積みにしないで、でこぼこをつくり、薄く延ばすことで融けやすくするというものなのですが、逆に、除雪で駐車場などで雪山をつくってしまいますと、4月や5月まで残っていることもあります。
この「雪の潜熱」について、実際の現場で豪雪に対応したときに記録した動画がありますのでこちらもご参照くださいませw
さて、話しを「かまくら」に戻しますw かまくらの中が暖かい理由は、かまくらの中で発生した熱がそのまま中に居座ることができるからなのは想像がつきますが、雪の壁や天井で覆われた空間なのに、なぜ暖かいのか?って疑問ではありませんか?内部で熱が発生しても、雪の冷たさで冷やされてしまうから室温としてのかまくら内部の温度は上がらないのでは?と思われるかもしれません。
実は、これは熱エネルギーの伝搬という部分での物理的な現象なわけです。確かに、かまくら内部で発生した熱は、冷えている雪の壁や天井に逃げようとします。ですが、この壁や天井を作っている雪には相当な「空気」も含まれています。この「空気」が実は断熱材の効果をもっています。建材として流通している「断熱材」はこの空気量で性能に差が出てくるわけです。
そして、かまくら内部で発生した熱エネルギーはこの雪の壁や天井に伝搬していきますが、壁や天井の雪に含まれる空気によって伝搬速度が極端に遅くなる、つまり断熱材と同じ熱挙動が起こります。雪の壁や天井が分厚ければ厚いほど、含まれる空気量も大きいですので、断熱性能はアップしていきますw
雪山で遭難したときに、雪洞をほって身を隠すことも同様に、雪による断熱効果を緊急避難的に利用しているとも言えます。