増築だけど新築の扱いを受ける建築

既存住宅を半分壊して元の1/2を超える床面積の住宅を建築する案件の続きですw

このような案件の場合、確認申請上の扱いは「増築」となります。ですが、その建築仕様によっては「新築」と同じ扱いを受ける場合があります。このときに問題になるのが「建物の独立性」ということです。

この「建物の独立性」というのは、片方がなくなったとして、残った方だけでも住宅として運用ができるか?というのが判断基準なのです。この「建物独立性」という言葉は、マンションなどで行われる「区分登記」でも問題にされる事項ではあります。

今回これを問題にする理由は2つあります。一つは「瑕疵保険の加入義務」です。現状では増築などリフォーム工事の場合の瑕疵保険加入は義務ではありません。新築の場合にのみ加入義務となります。もちろん任意で増築やリフォーム工事の場合でも瑕疵保険に加入することは可能ではありますが、その場合には新築瑕疵保険ではなくリフォーム瑕疵保険というモードになります。新築としての評価を保険会社のほうで行うことができないためです。

この増築だけど新築の場合の瑕疵保険を「新築」として扱えるかどうかの基準については、瑕疵保険でお世話になっている「株式会社住宅あんしん保証」さんが出している「保険引受の技術的判断基準」にちょっとした説明がありました。

株式会社住宅あんしん保証 保険引受の技術的判断基準より

そのままの事例ではありませんが、形態としてはこのパターンになります。この時、保険引受可否の判断は、①~④の確認項目に一つでも×が付く場合「否」となるわけです。今回の案件では、③の設備等の共用という部分では、既存部分には風呂がありませんので、設備の共用有となり適合しません。言い換えれば、既存部分で生活を営む場合には、新築部分の設備を使わなければ生活できないということなわけです。

また、「出入口の独立」ですが、一般的には玄関の存在をいいます。でも、ここが判断が分かれるところなのですが、勝手口はどうなのか?ということです。ずいぶん前に区分登記を経験した際に、玄関の定義のようなものがあって、「外部から施錠の開閉ができるか?」ということを説明した経験がありますが、おそらく、区分登記上での判断とはやや違うのかかもしれません。

いずれにしても、今回の案件は「新築の瑕疵保険としては適用できない」わけですので、同時に、「瑕疵保険の加入義務はない」ということになります。

なぜ、このようなことを気にしているか?といいますと、2025年度の補助金関係がどの程度つかえそうなのか?というのを検討するためなのですが、少なくとも今年度実施された省エネ2024が2025年度も実施される見込みなので、その場合にリフォームとして扱うのか新築として扱うのか?で確認したかったからです。

ちなみに、新築要件では新築建物としての省エネ要件に合致させる必要もありますので、今回のような既存部をかかえる案件では正直ハードルが高いこともあります。逆に、リフォームとして扱えるのであれば、結構手厚い補助になりそうなので、できればリフォームでの補助を受けることができる準備をしたいところです。

ですが、Q&Aに、以下のような問い合わせ記載があったのです。

増築の場合にも対象になりますし、工事前写真の撮影なども該当箇所の施工前の状況が増築前であることをしっかり示すことができ、かつ、施工中であることも含め画像を出せば補助対象にするようなのですが、

ただし、離れや別棟の建築等、建築確認上、「増築」と取り扱われる場合でも、住宅瑕疵担保履行法上の資力確保措置の義務(保険や供託)の対象となる工事は、本事業の補助対象として想定しておりません。

このような「ただし書き」がある以上、確認しないわけにはいきません。明確に、「増築」の場合でも、離れや別棟建築などで瑕疵担保履行法上の対象になる場合には補助金対象にならないとの記載がありますので、まずはその確認ということです。

この「ただし書き」はあくまでも2024年度の省エネ補助ですが、おおよそ2025年も同等になると推測されるので、まずは、一つの結論を出せたと思われます。

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