良書紹介:避難所トイレの教科書

1年ぶりの良書紹介ですwww

私たち建築業者は、災害でも命や財産を守るための建物を作ることを心掛けていますが、それで甚大な災害に見舞われた場合には倒壊はしないまでも、かなりの損傷を受けることは容易に想像ができます。災害が起こってもそのまま住み続けることができることは理想ですが、規模の大きな災害では「避難所」へ避難するということはやはり必要になる場合があります。

そのため、昨今、各地自体では災害時の「避難所」に関する対応を真剣に考え、様々なマニュアルや対応準備を行い、避難所そのものの開設スピードは非常に早くなっています。これはこれでありがたいことなのですが「避難所」が一時的にでも危険から身を守る場所となることは満足できても、災害により長期間の避難を強いられるとなると実際にはまだまだ足りないことが多いのも現状です。それには理由があって「避難所」が「生活の場」となることで、普通に家で生活しているのと同じようなレベルの要求や要望が出てくるからです。

確かに非常時ということもあり、ある程度のガマンや妥協は必要になるところはあります。ですが、避けて通れないことがあります。それは、「食べること」、「寝ること」、「清潔を保つこと」そして「排泄すること」なのです。この中でもいわゆる「ガマン」ができることというものはないわけではありませんが、たった一つ、簡単にガマンの限界がやってくることがあります。それが「排泄すること」なのです。

災害レベルが断水や停電などのインフラが途絶えるようなことがないレベルでは、施設などを避難所にしていれば、少なくとも「排泄すること」については問題がないかもしれません。ですが、災害レベルがインフラを分断し、上下水や電気、ガスが止まるようなレベルですと、「排泄すること」についてはすぐに限界がきます。この「トイレ問題」に焦点をあてている図書をご紹介します。

著者の中村光宏さんは、コンクリート関連の工事をなさっている「川端工業有限会社」の代表取締役で、実は弊社と工事関係でご一緒させていただくことがある方です。このお会社ではこれまでもコンクリート関連工事分野で、ちょっとした先進的な取組みをなされていて、特に「透水性コンクリート」という水を通すコンクリートを開発され、駐車スペースや歩行路が水溜りになったり冬季に凍結により歩行困難になるようなことがない外溝を提供されていたりします。

中村社長は、ご自身が「防災士」という資格取得者で、近年「防災関連の研究」にも力をいれられ、特に避難所での生活で著しく問題になる「トイレ」に着目されました。

ホームページにも記載がありますが、中村社長が被災地にかけつけ様々な支援を行う中で、避難所のトイレの現状は見るに堪えなかったようで、これをなんとかしたい!という思いで「避難所トイレ」の研究がはじまったそうです。

「避難所トイレの教科書」ですが、現状KINDLE版のみの販売になってますが、その内容は非常に読みやすく直感的にイメージできる内容です。さすが現場を知って書いた本です。

すべてをブログで書くわけにはいきませんが、一節だけ引用しますと、

「第2章 災害時のトイレで実際に起こること」

という部分でハッとさせられます。特に、「便器があっても使えるとは限らない」という表現はまさにその通りで、災害でインフラが破壊されているときに下水に頼り切っている現状のトイレでは「流すことができない」わけで、上の画像のような悲惨な状況になることは、それほど時間がかかることではありません。また、現状だけではなく「対策」にもふれています。第3章以降では「避難所トイレ」だけでなく、一般家庭できる「トイレ準備」にも言及されています。

災害に備えるという趣旨の図書は数多くありますが、トイレという部分に絞った解説、対策提案などの図書はこれまでみたことがありません。自治体関係者の方には是非読んでほしい内容です。

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