SNSのフィードで「耐震等級」に関する考え方を披露しているものがアップされていたのですが、意外と専門家という名の付く人も結構な「誤解」をしていて、その誤解を元にお客様へ説明しているようです。まず、ここで「耐震等級」とは?というところをまとめてみたいと思います。
まず、「耐震等級」とは?という「原点」について説明します。これは、「平成13年 国土交通省告示第1347号」で定められた、
第1 趣旨
「住宅の品質確保の促進等に関する法律(平成11 年法律第81 号。以下「法」という。)第3条第1項に規定する評価方法基準」として、日本住宅性能表示基準(平成13年国土交通省告示第1346 号)に従って表示すべき住宅の性能に関する評価の方法の基準について定めるものとする。
からくるものです。そして、かなり重要なことなのですが、この第2に、
第2 適用範囲
この基準は、法第2条第1項に規定する住宅について適用する。
として、評価は「住宅」についてのみ適用されることが明文化されています。言い換えますと、耐震等級2とか3の「事務所」というものは制度上「ない」のです。そして、もう一つ、特筆すべきこととして、この告示第1347号の評価方法基準には、木造、鉄骨造、RC造といった構造形式で木造に限るという記載はどこにもありません。言い換えますと、
住宅の耐震性能を評価する場合のランク付け
でしかないというわけです。実は、この前提を知らない自称専門家は非常に多いです。特に多いのは、「鉄骨やRC造であれば耐震等級など関係ありません」という説明をする輩です。少なくとも制度上、そんな記載はどこにもありません。

さて、次に「評価する方法」についてです。告示1347号第5では、「評価の方法の基準(性能表示事項別)」ということで説明されています。そこの1-1にも(1)適用範囲として、
1-1 耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)
(1) 適用範囲
新築住宅及び既存住宅について適用する。
と明記されています。

繰り返しますが、この性能評価については「住宅」のみの扱いであるということが明文化されているわけです。そして「評価事項」として、以下のような記載がつづきます。

この項目で大変重要な記載があるんですが、実は、自称専門家も理解を誤っているところがあるのです。それは、この部分です。拡大します。

ここに「極めて稀に発生する地震による力」という記載があります。この「極めて稀に発生する地震」ってなんでしょうか?これを定義しているのが「建築基準法施行令第82条の5第5号」です。もちろん告示にも定義がなされています。

この想定している地震力ですが、現行の建築基準法の耐震基準(以下、新耐震基準)における「極めて稀に発生する地震」とは、震度6強〜7程度の地震を指します(内閣府防災白書)。
また、これは関東大震災時の東京や阪神・淡路大震災時の神戸で観測された揺れに相当するレベルです(住宅性能評価・表示協会)。
さて、核心の「無理解」の部分です。無理解な自称専門家は耐震等級1を「建築基準法レベル」と評します。脆弱な構造耐力であるということを指摘するわけですが、そもそも論「建築基準法レベル」の耐震性であれば、上記のことを踏まえれば「倒壊しない」ことを想定した基準であるわけです。
もう少しわかりやすい事例をあげます。
100kgまで耐えられる椅子(等級1)と、150kgまで耐えられる椅子(等級3)があるとします。このとき、「等級3の椅子は150kgの人が座る前提で設計されている」でしょうか?違いますよね。どちらも同じ100kgの人が座る前提で、等級3の椅子はより壊れにくい、余裕のある造りになっているということです。
ようするに、耐震等級3というのは、等級1に対して「50%の余幅を持つ」ということなのです。まず、ここを理解していない自称専門家は、
「等級1は震度5強まで、等級2は震度6、等級3は震度7でも大丈夫」
といったような説明をしがちです。物理的に言って単に耐震性を50%くらいアップしたからといって震度レベルで1段階あがるような重力加速度に適応できるなどという根拠はどこにもありません。
さて、ここまで書くと、なんだか弊社は「耐震等級3」を否定しているように聞こえるかもしれません。それこそとんでもない誤解ですw それは「倒壊しない」という言葉にあります。「倒壊しない」は屋根が崩れ落ち、人が下敷きにならないというレベルであって、損壊しないという意味ではありません。ここが重要なのです。損壊レベルを低く抑えるためには、強さの余幅が非常に大切になります。ここを否定することはしていません。
地震による影響は単に建物の物性によるものだけではなく、立地条件として「地盤」、それも地層帯としてみるレベルの深さまでの地質構造、さらに、その地盤と建物の固有周期といったもので全く違います。言い過ぎかもしれませんが、単に震度6といわれても、大きく揺れる家もあれば、ゆれた?っていいうレベルの家もあるというわけです。一概には言えません。
でも、法律や制度はどこかで画一化したラインを決めなければなりませんから、それが告示とか基準法の規定とかに示されるわけです。
今回のブログでは、まず、耐震等級とはなにか?という原点を説明しました。次回からはもう少し掘り下げていきたいと思います。


