耐震改修工事は古い家を対象とした改修工事であるのは確かなんですが、時に「伝統工法」というか教科書に出てくるような設えに出くわします。大正や明治時代の住宅であれば「古民家」という話しにもなりますが、福井では「福井地震」が昭和23年に発生し、その際、かなりの民家が倒壊あるいは破損したということで、実は昭和23年から27,8年くらいに建築された家はかなり多いのです。
もちろん、老朽化により取り壊されているものもありますが、震災復興で倒壊した我が家を建てなおしたという方は非常に多く、令和の今の時代まで少しずつ手を入れながら住み続けているという家は結構あるのです。「古い」ということだけが注目されがちですが、イマドキの「サスティナブル」なんていう言葉を借りれば、スクラップアンドビルドで新しいものに取り換えていくのではなく、生活スタイルや家族構成の変化に併せて改修や改造を続けていくというのは、単に建築というスタンスだけではなく「モノを大切にする」という心構えがあり、そのお手伝いができることを光栄に思ってます。
さて、今回は瓦屋根の改修で、大変貴重なモノを拝見いたしました。お客様には心から感謝しなければなりません。

昭和25年建築の住宅の縁側です。実は、この建物で荒屋的に使われている部屋を解体し、家を新築するために、いわゆる「半分壊してシリーズ」の再来となりました。そちらはまた別のブログテーマで取り上げたいと思います。
この家の屋根瓦ですが、昭和25年から何回か葺き替えをしています。ですが、よーーーーーく見てほしいんですが、縁側の屋根瓦と2階の屋根瓦が違いますよね?拡大します。

軒先の瓦の形状が違います。2階の屋根瓦は瓦どうしの掛かりの部分に丸い飾りがついています。一方で縁側の屋根瓦のほうはついていません。これは2階の軒先瓦が「万十瓦」という形状なのです。縁側の屋根瓦には万十特有の丸い飾がないのですが、これで瓦の新旧が想像できるわけです。つまり、2階の屋根は結構新しいのですが、縁側の屋根瓦は、たぶん、「建築した当初から替えていない」瓦ではないか?と推測されるわけです。ということは、昭和25年からですので、78年w、だいたい80年近く屋根の状態は「そのまま」で維持され続けたということになります。
これ、すごくないですか?普通に考えれば、劣化や豪雪などで雨漏りが発生し、屋根の修繕が必要になりますが、それを80年近く耐え忍んできたというわけです。今回、耐震改修工事と荒屋の新築を行うために一部を解体するのですが、解体箇所の取り合いが縁側に続くところでもありますのと、この縁側部分が相当古いことが想像できましたので改修をご提案しました。
とはいえ、瓦を新瓦にするのはコストもかさんでご負担が大きくなります。そこで、解体する箇所の瓦を一部再利用することにしました。まさに「サスティナブル」ですw

必要な分を確保したら、あとは捨てますw

さて、当然、縁側の屋根瓦も捲ります。この瓦が古いのでなんとかしようというのが目的でありますので、捲りはじめたわけですが・・・・・
よーーーーーく、ご覧ください。イマドキの若い建築士さんなら、教科書か重要文化財指定の建物なんかで展示されているのを見たことがあるんでは?と思うのですが、瓦の防水が「杉皮」なのです。

杉皮に瓦桟が打ってありました。もう、びっくりです。しかも、新しく吹き替えた1階の屋根につながっていたのですが、なんと、その新しい瓦を葺くのに、強引に杉皮の上から防水ルーフィングが下葺きしてありました。まぁ、ある意味、杉皮と防水ルーフィングの二重防水ですので、それなりに性能はあがるかもしれませんが、屋根の平たいところはブカブカに見えるので、やるなら杉皮を剥いで野地板施工をやり直すくらいことは必要です。
これを発見したのが、午前10時ですw ここからはもう緊急対応工事に変わります。天気予報では明日まで曇りですが、にわか雨なども怖いので、速攻で野地板を変えて、防水が間に合わないならせめてブルーシートくらいは当てて帰る必要があります。




画像には足場が写ってますが、たまたま足場屋さんの担当者が朝のミーティングを終えて少し時間があいていたということで、急遽きてくれました。この足場が施工性をかなりアップしてくれましたw
野地板を捲くったところを見てわかるのが、この屋根、「二重屋根」になってるということです。画像で見えているのは「構造的」な屋根です。この屋根の下に、もう一枚「意匠上の屋根」が存在しています。手が込んでいますw でも、この二重屋根のおかげでおそらくごく少量の雨漏りなどは気にならなかったのでは?とも思います。意匠上の屋根も勾配になってますので、漏れた雨も軒先に垂れてくるからです。こんな屋根の作り方は「寺社仏閣」では当たり前ですが、民家で行われているというのは、相当なこだわりのあった大工さんが作られたということがなんとなくわかります。
また、福井地震後ということで、モノ不足もあって、倒壊した建物の古材などを使っているところも見受けられました。まさにサスティナブルです。このあたりの施工の臨機応変さは、先人の仕事のあとをしっかりと拝見することで学ぶことができますが、「もったいない」という日本独特の価値観がこうした伝統家屋に根付いていることがよくわかります。
さて、別のブログテーマでは「半分壊してシリーズ」の第二弾として、今回の工事を一部お伝えできればと思います♪


