「店舗」、「工場」、「倉庫」、「事務所」といった「非住宅建築」を木造で行うということが注目されています。ですが、そのメリットの大半は木造建築ということで、一般的な工務店でも施工できるということや、構造材としての木材のコストが鉄骨やRC造よりも安価であるということが注目されることばかりで、木造特有のメリットという部分での着目がなされることが非常に少ないです。
現在の木造建築においては、接合金物の進化やプレカットによる構造材加工の高精度化により、大規模な木造建築も可能になっていて、弊社では、大型の木造非住宅でも設計施工で一貫して行うことができますので、総合的なコストメリットも大きく、お客様からもご評価いただいています。
Youtubeチャンネルでは、非住宅物件の建築工事の様子を公開していますので是非ごらんください。
さて、木造による非住宅建築のメリットというのは、コストメリットだけではなく、世界的な「温室効果ガス排出削減」からの「カーボンニュートラル」の動きからも注目されるのですが、建築業界界隈ではあまり触れられることがありません。以前にもブログで取り上げましたが、木造建築はこの「カーボンニュートラル」という部分で非常に貢献度が高いのです。
「カーボンニュートラル」とは、温室効果ガス、主としてCO2の「排出量」から、植林や森林管理などによる「吸収量」を差し引いて、合計を実質的にゼロ(実質ゼロ)にすることです。ですが、生物が生きていくためにCO2の排出を全くゼロにはできません。そこで、排出せざるを得ない分を同じ量だけ吸収・除去して相殺する考え方をとるのが原則となります。
実は、この考え方が温室効果ガス削減を考える上での基本的な考えになっていて、決して「省エネ性能」を高めることだけが、カーボンニュートラルを社会の構図として実現に向けた動きではないということを知らない建築関係者は多いのです。
さて、先に述べました「排出せざるを得ない分を同じ量だけ吸収・除去して相殺する考え方」がなぜ木造建築のアドバンテージになるか?といいますと、そもそも、木材となる「木」は、昼間にCO2を吸収して光合成を行いエネルギー源としているということから、木が育つ過程でCO2を吸収し蓄えているという考え方が元になっています。そして木を燃やしますと、またCO2が発生するというサイクルができあがります。言い換えれば、木を燃やすことをしなければ、CO2は木に蓄積され続けるというわけです。この理屈を元に、木造建築においては、建築物にCO2が「蓄えられている」という考え方が取られるわけです。
では、なぜその考え方がカーボンニュートラル社会の実現で有効なのか?というのが、先ほど述べました「排出せざるを得ない分を同じ量だけ吸収・除去して相殺する考え方」になるわけです。
例えば、ある企業が製品を製造すると、その過程で確実にある一定のCO2量が排出されます。それは電力であったり、燃料を燃やして動力を得たりという場合に、その製品を製造する過程で排出されるCO2に換算されていきます。
ところが、CO2量の算出過程では「排出せざるを得ない分を同じ量だけ吸収・除去して相殺する考え方」ですので、木造建築で木材として蓄積されているCO2量はすでに吸収・除去している分として相殺できるわけです。これを「カーボンオフセット」と言います。そしてさらに、この吸収しているCO2量については、その量を売買することもできます。これを「カーボンクレジット」といいます。
その「カーボンクレジット」の制度が日本でも公的につくられていて「J-クレジット」といいます。
この「J-クレジット」ですが、すでに、国の省エネ補助金施策としてはじまった「給湯省エネ2023」から、補助金制度として「J-クレジットに加入する」という補助金要件があり、実はお客様があまり意識しないところで、このJ-クレジットを活用していたというわけです。これは、お客様がエコキュートなどの給湯器に取り換えることで削減したことで得られるCO2削減量を、事務局に一任して登録するという「共同事業実施規約」に✓を入れることでなされます。おそらく無意識ですwww

木造建築においては、木材が炭素を吸収して育っていることから、簡単に言えば「木材量=CO2量」のようなイメージになります。この「木材の炭素貯蔵量」の算出については、「林野庁」からすでにガイドラインがでています。
このガイドラインにそった形で、利用した木材量による炭素貯蔵量は、J-クレジットで給湯器を取り換えたときのカーボンオフセット量と同じように扱うことができます。
実は、福井県では県産材を活用した非住宅建築に対して補助金制度を運用しています。「県産材のあふれる街づくり事業(民間施設)」という制度です。
施設関係の建築を木材、それも県産材の使用量を全体の50%以上使うことで補助金を受け取ることができます。弊社ではこれを積極的に活用して、お客様のご負担を減らす取り組みをおこなっており、80%近くを「県産材」の木材で設計施工しております。そして、この制度では、実際の木材使用量から、その施設の「炭素貯蔵量」を表示してくれるサービスもあります。

これは、以前からブログでもご紹介している「株式会社ワーキングカレッジ あひろば」さんの事業所建築にあたって使用した木材に対して、林野庁のガイドラインを元に算出した「炭素貯蔵量」を示しています。これを用いて「J-クレジット」に登録申請を行うこともできるようです。
ここまでであれば、単に企業として脱炭素にどのくらい貢献しているか?というレベルの話しでしかないように感じますが、とんでもありません。先ほども書きましたとおり、世界的に「カーボンクレジット」という考え方が浸透していますので、具体的に言えば、この「株式会社ワーキングカレッジ あひろば」さんは、18.8tのCO2量を「ビジネスの糧」として取引できるということになるわけです。
さらに輸出業をなされているお会社であれば、欧州向けの輸出であればさらに重要視されます。一つの製品が製品として出荷されるまでのCO2量は輸入する立場では厳格に管理する必要があるのです。日本から仕入れる製品が過度にCO2を排出しているとなりますと、そのCO2量を輸入する側が何らかの形で担保する必要があるのです。輸入会社がほとんどゼロCO2であっても、輸入する製品の製造過程で10tのCO2が出ていれば、輸入業者も10tのCO2を「持ち込んだ」ことになるわけです。
こうなりますと、日本における輸出業者さんの建物が鉄骨やRC造などで炭素量がハンパなくあればそれは製品製造過程で出るCO2に加算されるわけですが、ビジネス上不利になるというわけです。これが木造建築が非住宅で益々重要視されるところでもあるのです。
何かを燃やしてCO2を出しているところはイメージしやすいですが、製品を目の前にして、燃えてもいない製品が多大なCO2をはらんでいるとはなかなかイメージがつきませんが、だからといって知らないでも影響がない時代ではなくなったというわけです。





