実は耐震改修工事が進まない理由の一つとして、「補助金申請書類作成の複雑さ」というものがあります。設計を行うことや施工を行うことにたいしては、正直、ある程度のノウハウや経験値があれば、正直、難しい工事ではありません。どちらかというと、現場サイドでの状況に応じた「臨機応変さ」と、迅速な設計変更の判断などが必要なスキルです。これらのことは、設計や施工の専門性がある程度担保されれば可能なことで、それなりの参考図書や資料があれば勉強できるわけで、極端な言い方をすれば「やる気の問題」でしかありません。
ですが、「書類」については、確認申請書やその他の設計審査や、現場検査資料などとはちょっと違うレベルです。確認申請書などは目的に対する法や制度上の要件に適合しているかどうかのみの審査になりますので、ある程度「定型化(テンプレート)」されたものの通りに作成できれば問題がありません。2025年4月に運用を開始された改正基準法では、その運用に対して事前に申請マニュアルを作成して周知しておりましたが、これもいわゆる「テンプレート」的な書類の作成さえできればよいということからの対策なわけです。
ですが、「耐震改修工事」の補助事業では、制度上の要件に「合致している」ことの資料と、補助金を受け取るにあたっての「正当性」、「妥当性」という側面の資料も必要になるわけです。なっていっても「税金」から補助をいただくわけですので、当たり前のことではありますが、この「正当性」や「妥当性」を客観的に判断した場合に、「可」となるだけの資料というわけですので、簡単にそれらが示せる場合と、そうでない場合というものがあるわけですw
ちなみに以下は、工事が完了して実際に補助金を受け取るための申請を行うときの添付書類の一覧です。

表中の✓マークが提出すべき書類なのですが、ここに「様式○ー○号」と記載があります。実は、この様式がちゃんと用意されている場合は、比較的、申請自体は「楽」なのですwww
様式にはルールがあって、どんな場合にでも1番最初にくるものがあります。これをよく「鏡」といいますが、福井市の耐震改修工事の場合、こんな感じです。

「鏡」というのは表紙みたいなもので、そこには、補助金の目的となる工事についての情報や、補助金を受けるために合致する要件、また、補助金が使われる部分で実際にかかる経費などの情報が記載される「だけ」です。要するに、補助金を受けるにあたっての「だいたい」の情報を記載するってわけですが、ここから先が、深堀りされていく書類になっていきますw
例えば、添付書類の1番に「様式第7-2」とありますが、書式はこんな感じです。

でも、よくみてほしいんですが、鏡となっているものが「工事完了届」です。それに対して添付書類1は「工事完了報告書」ですw 工事完了している届出を出すわけですから、完了している事実がそこにあるわけですが、その事実を「報告書」として提示せよというのが、この書式になります。メンドクサイ話しですよねーw なんなら、工事完了届に、この報告書の内容を「併記」できればいいと思うのですが、そうしないのにはちょっとした理由がありますw それは、「鏡」はお金や工期などの工事の全体像の話しでしかなく、その「鏡」に対して、内容記載を始めるという書類の形式があるからなのです。おそらく、このような形式というか形はどんな補助金でも同じではないか?と思います。
さて、実は、補助金申請にあたっては、このような「様式」がある分にはむちゃくちゃ楽なんですw なんていっても、求められている事項を書きさえすればいいだけですのでw 問題は「様式」がないものです。実はここがすごくメンドクサイ話しなわけです。なぜなら、これらは補助金という税金を使ったものを受け取るわけですので「正当性」や「妥当性」を客観的に判断できなければなりません。だれがやっても同じような内容であれば様式だけで済ませることができますが、耐震改修工事は個々の住宅で仕様や状況が違うわけですので、同じになるわけがありません。従って、その「個々の住宅での仕様」というものを説明する必要があるわけです。そこに書式などありませんw 補助金を申請するにあたっての「妥当性」や「合理性」が説明されているような資料でなければなりません。それが、
2.耐震改修等工事竣工図
3.耐震改修等工事写真
5.耐震改修等工事監理報告書の写し
のようなものです。例えば竣工図では、使った金物の配置位置の情報や、新たに追加した筋交いの仕様などが記載された図面が必要ですし、その図面に基づいた現場施工の証としての写真が必要になります。さらにそれらを建築士として監理したとする報告書も必要になります。例えば図面などではこんな感じですし、

施工状況としてはこんな感じの写真です。

そして、もっとも重要なことは、これらの施工箇所や施工内容が、金額と共に提示された「明細書」の内容と数量や施工内容が「一致しているか?」という資料ですwww 金物1個でも数が合わなければたいへんなことになりますw それなりの理由があり、その理由に合理性が認められれば軽微変更として扱うこともできますが、そうでなければ変更申請などの手続きが必要になってきます。
変更申請が必要な場合には、一旦、変更内容が承認されるまで時間を要しますし、完了届は出せません。
この書類作成に膨大な時間が必要になりますし、写真も必要になります。万一、取り忘れなどがあれば「壊しててでも」写真を撮る必要があるのです。これらがすべて業者側の「リスク」となるわけで、解体してみないとわからないという工事なのにも関わらず、これらのリスクを抱えての工事ですから、「補助金をとるならやりたくない」という業者が多くなるのは必然的な話しです。
でも、実際に補助金を取る取らない関係なしでみても、要求してくる写真や図面は、ちゃんと耐震改修工事を行うというレベルで考えれば、あって当たり前な資料ですw このあたりの認識が、補助金とって改修工事を積極的に行える業者かどうかの違いにあると考えています。
弊社では、相当数の耐震改修工事を手掛けており、そのほぼ99%を補助金取得による工事となっています。


