耐震等級に対する無理解 その5

前回に続きます。

さて、地震力というのは「建物の重量」をベースにして、それに地域や環境の係数と、そして建物の性能としての係数を掛け合わせて決めるということを前回説明しました。しつこいようですが、再度示しますwww

建物の重量Wiに、なんかわけのわからんCiという係数を掛けるわけですが、このCiもいろんな係数の掛け合わせで決まってきます。そのような係数の中、耐震等級をコントロールする係数は「C0」です。これも繰り返しになりますが、以下のような数値を取ることになります。

 等級1 C0=0.2
 等級2 C0=0.25 (等級1の25%増し)
 等級3 C0=0.3  (等級1の50%増し)

C0が割り増されれば結果としてCiが割り増されるわけですので、評価する地震力も割り増されるという仕組みです。言い換えれば、耐震等級の評価はこれがベースになっている「だけ」のことですw

えらく前置きが長くなりましたが、この「その5」では、あんまり意識していない内容に触れたいと思います。前回も使いましたが以下の図をご覧ください。

建物の重量の評価の仕組みを示したものですが、階層の下にいけばいくほど上階の重量が足されていきます。この「建物の重量」って何が含まれると思いますか?w 例えば福井では冬に雪が降ります。そして結構積もりますw 屋根の上に一晩で40cmや50cm積もっちゃうこともあるわけです。これが数日続くと1m近くまで積もることも「普通」にあるわけです。

そうなれば、屋根の上の雪の重さも「建物の重量」と見なして設計しないと、もし冬、雪がつもっている中で地震がきたら、それはえらいことになります。これが「積雪荷重Wsを考慮する」というものです。

どの程度の積雪荷重を考慮するか?というのは、自治体条例などで決めていますが、福井県では「住宅の場合」、雪下ろしをすることを前提に「積雪1m」を想定した重量を加味することになっています。単位荷重は、1cmあたり30N/㎡です(法的には20N/㎡以上ですが、条例で30N/㎡と定めています)。

上図をごらんいただければイメージが付くと思いますが、Wsというのが頭に乗っかる形で設計評価します。この図ではちょっと表れていないんですが、1階に屋根がある場合には、1階にWsがかかってくることになります。福井県で耐震等級の評価を行う場合には、建物の重量にこの積雪荷重Wsを足した形で、C0を割り増すということになりますw 3000N余計にかかってるってわけです。

これちょっと考えてみてほしいのですが、福井県以外で雪がほとんど降らないようなところとでは、少なくとも3000Nの荷重評価の差があるわけですが、お気づきでしょうか?w 言い換えますと、例えば、東京や大阪、名古屋で「耐震等級3」を取得した設計を、そのまま福井にもってきても、耐震等級3には「ならない」ということです。ひどいと、等級2にも満たないかもしれませんwww 逆に福井で耐震等級3を取った設計を、そのまま東京や大阪、名古屋にもっていくと、等級3はおろか、等級4とか5(そんなものないですがwww)になるくらいの耐震性能があるということですw

現実的な話しをした場合、福井において屋根に1mの雪がのったままになることがあるのか?ということがあります。山間部ではともかく市内域においてはせいぜい60cm程度、海沿いではそこまで積もることはないわけです。ですが、設計条件として積雪荷重を1m、3000Nで評価しなければ等級3の取得はできません。すでに荷重評価の段階で、C0の割増しなんか吹き飛ぶくらいの余力があるということです。

耐震等級は、C0を単に割りまして得られる評価ではなく、その建物に対する地域的特性が係数で与えられ、建物固有の設計条件がさらに上乗せされて最終的な評価を受けるわけですので、建設地の条件でその性能の下限値が全く違うわけです。したがって、同じ耐震等級でも地域間で「差が出る」ということを知ってほしいのです。

さて、積雪荷重の説明の冒頭で「住宅の場合」とわざわざ前置きしたのは、少なくとも福井県においては以下の基準が定められているからです。

◎福井県積雪荷重等指導基準

第2  雪おろしによる積雪荷重の低減
 1 建築基準法施行令第86条第6項の規定は適用しない。ただし、住宅についてはこの限りでない。
 2 前項の規定にかかわらず共同住宅、長屋については垂直積雪量を2メートル以上として適用できる。

非住宅においては原則、この低減については認めておりませんので、「まともに」積雪荷重を想定して計算する必要があります。

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