ネットニュースを見ていたらこんなニュース記事を見かけましたw
◎390万円かけた市職員駐輪場 無許可建築と気づかず、屋根取り外し
有料記事なので前段部分しか読めませんが、どうやら神奈川県座間市にある市有地に職員向けの駐輪場を建設したのですが、その建設にあたって「建築基準法で定められた県の許可を取らずに建設した」ということで、是正のために「屋根の取り外し」をはじめたというものです。役所の工事でもそんなことがあるんかなぁと思いましたが、この記事の「建築基準法で定められた県の許可」というものに違和感を覚えましたw
まず「建築許可」が必要な建築行為というものはなんなのか?とい言いますと、
①市街化調整区域での建築行為
②土地の形質変更に伴う開発行為が必要な敷地に対する建築行為
③法的な規制(条例含む)の一部を緩和、除外して行う建築行為
大ざっぱに言ってこのくらいです。今回、「駐輪場」建設にあたって「建築許可」が必要となる場合を考えますと、①か②程度しか思いつきません。ですが、①については、職員向けの駐輪場を建設するということは、少なくともその場所に職員が働きにくるような施設がすでに存在しているわけですので、考えられることとしては、
市街化調整区域に存在している市の建物建築の際の「開発行為」で、許可を受けている建築計画に、駐輪場を追加する(駐輪場を増築)ことに対する変更計画が未提出
ってことですし、②であれば、
土地の形質変更があるような敷地に、例えば、田んぼを埋め立てて駐輪場を建設し、その面積が1000㎡を超えるような場合
って感じなことが想定できるんですが、390万円で1000㎡の田んぼを埋め立てて駐輪場を建設したっていうことでは、金額が安すぎないか?wwwって感じです。
また、この市有地が存在している地域に対して条例や関係法律等で「駐輪場建設禁止」となっているのかな?とも思いましたが、用途としてそれを禁止しているとはちょっと考えられませんw さらに駐輪場が作れない場合を考えますと、駐輪場のスペースが「建物からの避難路」になっているので、自転車により「空地確保」ができないことで法律に抵触し、それを回避するために法律の一部を緩和、適用除外するために建築許可が必要であるって感じなのか?とも思いましたが、記事の写真を見る限りなんとなくそんな感じではないような気がしていますwww
ちなみに、建築許可が必要である場合の大半は、①と②であって、この場合、直接的な建築許可ではなく「開発行為申請に対する許可」を経て建築確認申請を行うという流れになりますので、単純に建築許可という意味合いで言うのであれば③となります。この場合、ざっくり言いますと、建ててはダメなところに建物を建てるとか、用途として規制を受けてるところに禁止されている用途の建物を建てるとか、建ぺい率が60%などと指定されている敷地に、70%とかの建築計画を行うなど、法律での規制を破って建築しなければならない場合です。でも、これは一般的な民間建築物(住宅や店舗、事務所、工場)では、よほどの公益性がない限り許可なんかおりませんwww 公的機関の建築物でも同じようにそこにそれがなければならない事情が公益性、社会性などを考えても妥当だと認められなければなりません。一方で、例えば、学校の敷地に災害で家を失った方の仮設住宅を建設する、などはもはやこの建築許可を必要とするような事例からは除外されていますので、許可なんかいりませんw そして、許可者は特定行政庁ですので、記事の座間市の特定行政庁は「神奈川県」となりますので、窓口は県なわけですが、記事の「県の許可」という表現はそれを物語っていると思われます。
さて、建築許可の実際はどんなものか?といいますと、例えば、田んぼを埋め立てて工場を建てるとかですと、一旦、

こんな感じで開発行為許可というものが必要になってきます。また、市街化調整区域で「住宅」を建てるとなりますと、その土地を所有している親族であれば以下のような「分家住宅」として、許可までの手続きが緩和されますが、それでも「許可」が必要になります。

でも、そんな中、市街化調整区域内であっても、農業施設等であれば、この許認可制度を適用除外できるというものもありますが、その際には、適用除外の申請が必要になります。

まとめますと、「建築許可」といいますのは、建ててはダメなところに建物を建てる、あるいは、法律等で規制を受けている内容をあえて破って建築行為しなければならない、といった場合に初めて「許可」という文言が出てくるというわけです。
一方で、「建築確認」とはなにか?というと、建築確認とは、建築行為を行うにあたって、どこにどんなものをどのような規模で建築するかを示した上で、その建築物が建築基準法に照らして法律を破っていないことを「確認」することを指します。許可ではありません。そもそも論、所有権、使用権を得ている土地になにを建築しようが勝手なのですが、やみくもに建てられては景観や防災上も問題があるので、建築基準法で規制しているのです。建築確認はその1点を確認するだけなのです。
そして、問題がなければ以下のような「確認済証」が発行される「だけ」ですwww

先ほど述べた「開発行為許可」においても、当然、この「建築確認」というものは行われます。許可については建築行為の全般、大枠での許可であって、建物の詳細に対してまで一々を許可するものではありません。建物の詳細は「建築確認」で規制するというわけで、しっかり住み分けされているのです。
さて、座間市の記事にもどりますが、この建築確認についても「特定行政庁」に出すことになりますので、座間市の特定行政庁は神奈川県です。ここまで書けばなんとなくお分かりかと思いますが、この記事は「建築確認」と「建築許可」を誤解してかかれた記事ではないか?と思います。実は、これは建築屋さんでも誤解している人がいるくらい言葉の定義をあいまいに考えている方が多いのです。
役所に出す書類はそれらがすべて「許可」を得るための書類ではありません。そもそも、許可が必要というのはだれの権限で許可を出すのか?ということを考えればわかることです。自分が所有している土地に家を建てる場合に、一定の法律を順守することは当たり前ですが、建てること自体をだれかに許可をもらわなければならないはずがありませんwww
これは建築におけるトラブルでも語られることで、意外と法律家である弁護士さんでも、この確認申請済証をみて問題があると、発行者である、画像の例ですと福井市の建築主事に、
「許可を出したのは福井市だから責任をとれ!」
のようなことをクレームとして言う方がいますが、全くのお門違いですw 彼らは許可なんかだしていないのです。内容を法律に照らして精査して、法的に問題がないことだけを確認しているにすぎません。これは同様に建物が地盤沈下で傾いたとか、柱に傾斜があったとかそういうことも含めて、確認した審査とは無関係ですので審査機関に責任を問うのは全く意味のないことなのです。
なお、建築物の存在や、その存在による隣地等への影響は建築主としての所有者が筆頭でかかってきます。建物を建てることで設計や施工を行うのは業者ですが、「業者が勝手にやった」とか「建物が隣地に影響を与えるとか素人だからわからない」とかは、責任の所在を判断する場合には考慮させるものではありません。これは中古物件でも同様です。所有権を持つというのはその権利と建物の維持や影響に対しても義務が発生するわけです。



