木造住宅耐震改修現場見学会開催

以前のブログでもご紹介しましたが、本日、福井県主催の「令和8年度 木造住宅耐震改修工事見学会」を開催しました。

みのり公民館を会場として企画されましたが、40程度ご用意した席は満席となりました。ありがとうございました。

ご参加の方々は耐震改修の診断士、改修業者の方、また前年度までに各市町の補助を受けて耐震診断と補強プラン作成を行った住宅所有者の方ですが、住宅所有者さんの人数がかなり多かったのは驚きました。

みのり公民館での座学では、まずは福井県建築住宅課の方から補助制度などの説明がなされ、その後、弊社より耐震診断、補強プラン作成などの実務的な話しと、今回の見学会でご案内する内容などをご説明しました。

特に、弊社へのお問い合わせの多い内容をご説明いたしました。使用した資料を公開しますが、まずは「耐震診断の目的」というところです。

お問い合わせでよくあるのが、どのくらい耐震性があるのか?を知りたいというお問い合わせなのですが、結論から言えば、旧耐震基準で作られている建物の耐震性を新耐震基準で評価しても「絶対に」クリアすることはありません。したがってこのこと自体は無駄だということです。本来、耐震診断を行うのは、どのような補強が必要になるか?という「当たり」をつけるための基本調査だということです。

次にお話ししたのは「固さのバランス」という視点です。

評点が低いことを憂う方が多いのですが、現実的にはこの剛心と重心位置のずれによって耐震能力は大きく変化します。極端なことを言えば、剛心と重心がぴったりあっていれば、単に建物は揺れてるだけであって、よほど大きな揺れが来ない限り倒壊に至ることはありません。倒壊する理由はこのズレであって、ズレることで建物がゆれによって回転することで倒壊が進むというわけです。このズレを直す作業ということが本来耐震改修の目的の根本とすら言えます。

3つ目は福井県も推奨している「低コスト工法」についてです。

この低コスト工法については、多くの住宅所有者さんには誤解があるのです。お問い合わせの大半は「低コスト工法で補強プランを作ってください」というものなのですが、この低コスト工法は特段なにかの認定工法ではありません。愛知建築地震災害軽減システム研究協議会さんが名古屋大学などと一緒になって様々な壁の仕様の破壊検査をすることで、特段特殊な材料を使わずとも耐力壁として改修できたり、あるいは、耐力壁としては評価できなかったような部位や形態に対して実験値を使うことで多少なりとも耐力評価できるようになったというところで、今までですと耐力壁ではないという評価部分に対して、耐力壁として評価できることによって、改修プランの幅を広げることができるというものです。したがって、それらの壁の仕様が使えるときと使えないときがあるのです。意外とこの説明をお問い合わせの際にしますと「知らんかったー」という感想をいただくのですが、これは正直、県や市町の告知にも問題があると思っています。

4つ目です。「部分改修」についてです。

特定居室というものを想定して、その部屋(エリア)のみを耐震改修することを言います。ですが、この部分改修には4つの条件が必要であるということを知らない方が多いのです。診断士の中にも知らない人がいるくらいです。この4つの条件をクリアできるのは、概ね、40坪程度の住宅であって、田舎の古民家といわれるような住宅では、どこかの部屋を強化することで全体のバランスが崩れ、かえって倒壊リスクが増大することの方が多いわけです。

最後は、すでに補強プランはあるのでそれで改修をお願いできませんか?というお問い合わせです。

これができるとすれば、元々の補強プランが建物のすべての箇所をつぶさに目視検査し、基礎の配置状況、梁や柱の存在などがすべて明らかになっている場合でしかありません。県が補助で行う診断と補強プラン作成はあくまでも目視調査であって、見えないところの評価は類推するか不明という扱いにするわけですから、実際の改修内容とするには信頼度が低いわけです。したがって再調査は絶対に必要なことなのですが、意外とこれをご理解いただけていない住宅所有者さんは多いのです。

さて、座学のあとは実際の現場での見学ということで、現在進行形の現場状況をご覧いただき、ブログでも大騒ぎした鋼製ブレースの利用をご説明いたしました。

鋼製ブレースを多用するようになって、もっとも効果が大きいのは「解体箇所や内容が極端に減った」ことです。特に土壁の場合などは、土壁を落とさずとも改修できるメリットは大きいのです。また、天井を壊さずに鋼製ブレースを配置することも可能です。現場の大工さんの評価も高く、施工時間も短くなるのと、土壁を落とすことで土や竹の廃棄でドロドロになることも少なくなったのです。

実際にはこれこそが「低コスト工法」であると考えています。

今回、業者さんの参加もありましたが、この点をつぶさにお伝えして、各々の業者さんが担当されている耐震改修が少しでも楽に安価に進めることができるようにという思いです。また、今回ご覧になった住宅所有者さんが、一軒でも多く、改修に踏み切る決断ができることが本来今回の見学会の真の目的なわけです。

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