今回のアルアルは、正直、過去イチショックを受けたアルアルです。ぶっちゃけ、そうアルアルなわけじゃないレベルです。まずは画像をご覧ください。

違和感ありませんか? なんとなく、何かが足りない気がしませんか?筋交いが左右に広がる形ではいってますが、その筋交いの端部に柱がありません。最初にこれを見たときに「柱を抜いた?」と思ったのですが、柱が入る位置に柱の跡などありません。


筋交いは土台に取り付くだけで、筋交いとして成立していません。単なる「斜め飾り」です。このような斜め材を入れた理由が正直知りたいです。斜め材として水平力に抵抗するには、筋交いの根本が動かないという構造モデルがあって成立します。方杖とみなすにしても、それなら内側に開く形でなければ効き目がありませんw
当然、このような場合の耐震改修工事では、これを筋交いとして成立させるようなことはしません。単なる飾りとして扱って、中間部に柱を追加し、それに対して別に筋交いを設置することになります。この飾りを外すことは、改修箇所でない内壁を傷めることになりますので、撤去まではいたしません。
気の毒なのはお客様です。お客様がおっしゃるには、この住宅を購入したときから、あちこちリフォームをしてもらう大工さんは同じ大工さんで長年お願いしてきたようです。お付き合いも長いわけで、その中で信頼関係を築いてきたわけですが、この大工さんは完全に裏切ってるわけです。
こんな筋交いの入れ方が良いか悪いか?なんか、構造的な計算をするしないとかそういったことは関係ありません。計算ができない大工さんだったとしても、感覚的なものはあるわけで、それがこれで良しとしたとしたら、もはや「センス」のない単なる「手先が器用な人」でしかありません。
DIYなどが動画サイトで取り上げられることが多いですが、DIYは、自分でやるからDIYといって済むわけで、他人の建物、それもお金をもらって工事を行うということになれば、DIY的なレベルの手先の器用さだけではいけません。学生が文化祭で作り物をするほうが数百倍マシです。
この写真をご覧になった方に誤解してほしくないことがあります。これは「手抜き」ではありません。「手抜き」というのは、最終的な形態や構造様式を実現するために、途中の施工手順を「省略」することであり、結果として実現できる性能は「同じ」であることを指します。
従って、これは「手抜き」ではありません。完全に「無知の結果」です。もっと言えば、自称専門家気取りの大工が、自分の能力の無さを棚に上げてお客様から「お金」をまきあげたというわけです。瑕疵とかそういうレベルでもありません。作り方を知らない人が単に形だけ成立すればよいという発想の元で作業をしただけです。
今回の耐震改修工事では、そこら辺も含めて、可能な限り修復することにしています。我々は「専門家」ですので。


